オリバー・ストーンの直截な質問に淀みなく回答していく人間・カストロ。
バイアグラのくだりにも笑いましたが、およそ世間、というかかつての「西側」が彼に
もっていたイメージとは程遠い好好爺な物腰に驚き、「独裁者の存在は悪か?」と問いかける
カストロの言葉が我々の胸に迫ります。「わたしは自分自身の独裁者であり、国民の奴隷
なのだ」。マイケル・ムーアが自作「シッコ」で「キューバはアメリカに比べたら医療天国」
(この議論にも賛否はありますが)というほど社会福祉を充実させたカストロ。圧政者の
イメージは果たして・・・?アメリカ覇権主義の「目の上のたんこぶ」として目の敵にされ
続けるキューバ/カストロの少なくともある一面の真理を描いた問題作。政治ジャーナリスト
の対論ではおそらくこうはいかず、従軍歴もあるオリバー・ストーンだからこそ引き出せた・
妙なバイアスがかかっていない珠玉のインタビュー、と思います。
「人間は価値観を持たずに産まれてくる。人生は思想と価値観を学ぶ過程なのだ・・」。
ゲバラに比べ圧倒的に少ないカストロのみに視点を置いたドキュメンタリーで、ゲバラから入ってカストロに興味が移った私にはとても参考になりました。映像で見るカストロ入門編、貴重な映像も満載で私は何度も繰り返し見てしまいました。
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