岐阜県長良川を舞台に青春時代の恋愛物語を回想した作品。鱗のある魚、月、タコの風船、金魚などのメタファーや花火、暴風雨などの情景描写は技巧を凝らしたており、製作サイドの持ち味がいかんなく発揮されている。脚本に加えて、ピアノのBGMや効果音も冴えていて完成度は高い。堀真樹、菊池麻衣子の演技はとても自然体でみずみずしい。とくに、彼女の内面の感情が現れた顔つきの変化は見入ってしまう。NHK朝ドラ『ふたりっ子』で双子のヒロイン役で時の人となったのは頷ける。堅実なストーリーと初々しい演技によって、青春時代における恋愛のときめきや胸キュンが息衝いた傑作に仕上がっている。