セレブの休暇というだけで、ロスト・イン・トランスレーション的なちょっと鼻につくものかと思っていたけれど、レンタルで見てとても良かったので、めったに買わないのにDVDを購入した。
クレオは11才。まず、11才という響きが切ない。最後の少女時代とでもいうのだろうか。12才になってしまえば、女性になるための準備をはじめてしまう。エル・ファニングの演技は、女性になるほんの手前の、残り少ない「娘」の姿をよく現している。
いつも忙しい父親のジョニーのことを、クレオはほんとうにすなおに愛している。二人でハンバーガーを食べたり、プールでのんびりしたりするひと時が、娘にとってどれほど幸福であることか。そしてそんなふうに美しい愛にみちた時は、人生の中でそうたくさんは訪れない貴重なものであったと、わたしたちはいつもあとになってから気づかされる。
楽しかった休暇の後、ふいに泣き出したクレオ。 彼女がそう遠くない将来、自分の中に降り積もった淋しさに対峙せざるをえなくなったとき、初めてじぶんのなかにひとつの大きな空洞を見つけ、なんらかのかたちで大人になろうとするのではないか。(ヴァージン・スーサイズのラックスのように)
この世のすべてを持っているように見えるソフィア・コッポラが、どうしてものづくりをするのか不思議に思っていた。彼女の映画にはいつも「セレブの趣味」だけでは済まない「なにか」があった。この映画がソフィア・コッポラの実体験によるものであるなら、彼女が映画を撮る理由のひとつは、クレオが感じていたような、小さな「淋しさ」だったのではないか。お金があろうが無かろうが、すべての親子の間に必要なもの。すべての人が感じるもの。 淋しかった、悲しかった、それでも大好きだった、ということ。
まぶしいほどに切ない心のきらめきがつまった映画。見たあと一日じゅう、心が静かに震えていた。
映像がきれいでエル・ファニングがすごくかわいい・フェニックスの音楽がカッコイイ・スティーヴン・ドーフのだめだけど優しい父親の姿も好き。なんだかんだで観る価値はあると思います。
なんとも気持ちの良い気分にさせてくれるCDです。サントラって同じ曲が違うバージョンで何曲もはいってたり、あまりにもBGMてきだったり、買って結構ハズレだったりする場合も多くてがっかりするけど、ほんとこれは買ってよかった!何度聞いても不思議なくらいあきない軽さがある。個人的には映画ではうっすらとしかかかってなかった、かぜにふかれて、がお気に入りです。
まだ映画は見てないけど、サントラだけでもかなり質が高いと思います。久々に声を聞かせてくれたmy bloody valentineのkevin shieldsにはやられました。音楽を聴きたくない日でも、このサントラは聴ける。好き嫌い分かれそうな感じですが、全てのジャンルを網羅しているようなものなので、UKロックの好きな人なら絶対はまります!!
ソフィアコッポラさんといえば、映画「ヴァージン・スーサイズ」と「ロスト・イン・トランスレーション」を監督したことで有名ですが、この本で監督以外の活動のお話も取り上げられていて、よりソフィアを身近に感じます! 普段の素顔のソフィアも垣間見えますよ♪ またゲストも多彩で、日本の友人からビルマーレイまで映画の裏話を披露してくれたり、何よりソフィアの写真がきれい!! おしゃれ好きさんにも、うれしい内容です。 ソフィア、センス良すぎです☆
外国映画で、日本を正確に描くことにどこまでこだわるべきなんでしょうか。ドキュメンタリーやニュース報道ならまだしも、フィクションにそれを求め過ぎると、本質を見失ってしまうおそれがあります。ビル・マーレイやスカーレット・ヨハンソンのすばらしい演技、美しい美術や撮影、といった点に言及したレビューが少ないことがその証拠でしょう。 たとえば、スカーレットと一緒に日本人のパーティに行った翌日、マーレイが米国の妻に電話する場面で「すごくいい曲を聴いたよ。彼らの音楽の趣味が本当にいいんだ」という内容のセリフがあります。そういう所を、見のがさないでください。 ビル・マーレイの、いままで見せたことのない繊細な演技はすばらしかった。まちがいなくこれが彼の代表作のひとつとなるでしょう。スカーレット・ヨハンソンも、当時17才とは思えない成熟した雰囲気には、ただ者ではない予感を感じました。ふたりの微妙な恋心、ふれるとこわれそうな、だからこそ大切な"情"。それを守りとおした二人の誠実さ。アメリカでは、きっとふたりは二度と会うことはないでしょう。袖触りあうも他生の縁、一期一会・・・やっぱり日本でなければならなかったのです。 ヴィム・ヴェンダースが「旅に出て迷う時が最高の瞬間だ」と、何かのインタビューで言っているのを聞きました。旅とは、そういうものです。最後にマーレイが見る、朝の東京の美しさ。それをフィルムに焼きつけてくれただけで、私はこの作品に感謝します。
|