インターネットであれこれさがしていたら、昔懐かしいマンガが出てきたので買ったのが『黒い秘密兵器』。子供時代にも結局まともに読んだことがなかったのだが、通して読んでみて、『巨人の星』にあまりに似ているので驚いた。『巨人の星』の方が後だったわけで、その強烈だったインパクトを考えれば、この作品もいわば時代を先取りして、『巨人の星』で一つの頂点に達することになる日本のスポーツ群像を切り拓いた作品だったわけだ。
どこか似ているかといえば、たとえば才能ある選手が尋常ならざる育ち方をしている点、巨人軍に恨みを持って復讐しようとする男の存在、直球だけでも無茶苦茶速いのに、魔球(ここでは秘球、巨人の星では「大リーグボール」)にやたらこだわる点、そして、結果的にそれで滅びる点。ここには、ただ似ているというだけではない、かなり根本的な日本人気質のようなものが反映されているような気がする。『巨人の星』に比べればだいぶ明るいドラマなのに、終わりはほとんど唐突な滅びだ。どうしてこう日本人は滅びのテーマが好きなのか。
ウルトラセブンのコミカライズといえば桑田次郎氏・版が有名ではあるが、私個人としては この一峰大二氏・版がベストであると云いたい。桑田氏のコレクターでもある私が云うのも何ですが、実写の”短足胴長の典型的日本人体型”セブンには桑田版の画のクールさは似合わない。その点、一峰版の”いい意味での”洗練されていない荒々しい画風は主題歌にもある「ファイターセブン」にふさわしい。特筆は、セブンを代表する武器である”アイスラッガー”の描写にある。桑田版では、ただ投げつけている感があるが、一峰版では様々な攻撃バージョンが試みられオリジナルを超える”殺陣”として成立しています。ヒーローのコミカライズ以外にもオリジナルを多数執筆している一峰氏の、幼い子供でも理解できるレベルの科学考証で話を構成する手腕は、もっと評価されて然るべきと思います。
プロレスの黎明期には必殺技であるとか、レスラーの生い立ちなどにかかわる「怪しい」エピソードとか、フツウの武道や格闘技とは異なる興行的要素のおもしろさがあった。これはとくに悪役どもの「怪しい」生活ぶりとか生い立ちがふれられた興味深いシリーズ。作画は「黒い秘密兵器」など野球ものでヒット作をおおくもつ一峰大二氏。
ここでは冒頭のジャングルボーイのはなしが怪しいを通り越してスサマジイ。人里離れた洞窟にすみ、毒蛇をあたまのなかに隠し、生肉を喜んで喰らい、そして文明人に復讐のためリングにあがるという。。。まるでマンガのなかの悪役プロレスラーそのもののような世界。どこまで真実かわからないのであるが、このみることのなかった悪役が実際のリンクで暴れたということがこの時代の「プロレス」らしいかも。。。
アントニオ猪木の師匠、故カール・ゴッチ氏。このシリーズで登場するとは違和感があるが、この「プロレスの神様」の若き日、苦しんでいたころのものがたりは貴重なエピソードとなっており、ファン必読とおもいます。貴重な復刻版です。
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