紀行文は難しい。景色を愛でても、美味しい物を並べても、それがどうした、となまじなことでは読者にそっぽを向かれる。そのうえ知られすぎている芭蕉を旅しようというのだから、よほどの筆力を要する、と思われるが、嵐山光三郎の俗にして雅、新しき町から古きを訪ねる姿勢、芭蕉研究においては他のものの追随を許さぬ博識ぶり、何よりも、いつも感じる文体の品の良さ。ふ~んと驚く、あまり知られていない芭蕉像も垣間見せてくれて、楽しい本である。
年代順に亡くなった作家が並べられている。みっちりといろいろな作家が亡くなった作家に宛てた追悼文を分析している。作家って死んだ後が怖いのね。
そろそろストーリー性のある絵本を・・と思い購入しました。大好評でした。最初のページに地図があるのですが、「こういって、こう行くんだよ」と教えると大喜び。3歳の今でもよく「読んで」と持ってくる絵本ですね。3人が作ったお弁当もとてもお気に入りでひとつひとつ指で持ち物を確認していますよ。オススメです。
面白いこと請け合い。作品の深奥にある文学者の食意識、料理、店との関わり、などなど、さまざまなエピソードとともに紹介されています。
初めから通読するのもよし、好きな作家だけ読むのもよし。一応、参考までに紹介されている文学者を羅列します。
1夏目漱石
2森鴎外
3幸田露伴
4正岡子規
5島崎藤村
6樋口一葉
7泉鏡花
8有島武郎
9与謝野晶子
10永井荷風
11斎藤茂吉
12種田山頭火
13志賀直哉
14高村光太郎
15北原白秋
16石川啄木
17谷崎潤一郎
18萩原朔太郎
19菊池寛
20岡本かの子
21内田百間
22芥川龍之介
23江戸川乱歩
24宮沢賢治
25川端康成
26梶井基次郎
27小林秀雄
28山本周五郎
29林芙美子
30堀辰雄
31坂口安吾
32中原中也
33太宰治
34檀一雄
35深沢七郎
36池波正太郎
37三島由紀夫
最高のエピソードを紹介します。
太宰治は、ある時、熱海に出かけた。東京の内妻に金がなくなったと連絡が入る。頼まれた檀一雄がお金を持って出掛けると、また豪遊。さらに金がなくなり、今度は檀が宿で「人質」となって、太宰が東京に金を工面しに帰る。3日くらいで戻るかと思ったが、10日経っても戻ってこない。仕方なく、監視役をともなって檀が帰京し、太宰を捜すと、のんきに井伏鱒二の家で将棋を指していた。檀曰く、「『走れメロス』はこのことを元にしたのではないか」。
■著者はその昔『月刊漫画ガロ』でハチャメチャな人生相談などを書いていた人。当時の本業は平凡社の社員で後に『太陽』編集長を務めた有能な出版人だ。嵐山は38歳で平凡社を退職、若くして「不良定年」の道を歩んだ。本書は今年(2005年)63歳になる嵐山一流の楽しい老年(定年)生活の過ごし方と心構えをといたもの。文章がうまい人なので、どれも軽妙で面白い。ラストで故・種村季弘さんの思い出も語られる。
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