ドイツ表現主義の映像の素晴らしさとか眠り男のキャラクターが怖いとかいろいろあるけれど。
一番はカリガリ博士の所業と眼鏡の奥の眼つきが心底恐ろしい。悪夢である。
京極夏彦原作・企画・脚本による、時代劇ミステリー第4弾で元々はWOWOWで放映された作品である。ただしこの『福神ながし』だけは全くのオリジナル作品で、原作の小説がないという点でこの作品でしか味わえない京極ものということで価値は高い。
まずキャストが素晴らしい。さすがに京極夏彦自身が選んだだけあって、堤監督が制作したものと比べて原作の登場人物のイメージにより近いと思う。特に山猫廻しのおぎんの遠山景織子はピッタリだと思う。ただキャストはぴったりなのだが映像的な作り込みはさすがに堤監督の方が上に感じられた。こちらのキャストで堤監督が撮ると完璧かもしれない。
何しろ又市と京極堂(先祖らしいが)クロスするストーリーが面白い。京極夏彦は原作・企画・脚本だけではあきたらず戯作者役で俳優もやっているのだがもっと面白いのは水木しげるが鳥山石燕役、宮部みゆきがその文章を付ける作家の役で出ているところだ。これはかなり面白い。何しろ他ではなかなか見られない頑張りを見せている京極夏彦を堪能できる作品だ。
休日の寝る前には必ず絵本を読み聞かせする習慣のある我家でこの怪談絵本を読み聞かせたところ、6歳の娘が悲鳴をあげて怖がった。 それをみて小4と中1の息子もやってきたため、再度読んだところ、二人とも怖がった。 娘はその後、私の腕を強く掴んで寝るまで離さなかったところをみると、とても怖かったようだ(腕を離さないその姿は可愛かった)。 正直なところ、読み聞かせをした私自身も後半でドキリッとする場面が出てきて、びっくりした。 画の怖さだけでなく、何とも言えない不可解さが混じり合ったような恐怖だ。 怖い話が苦手な人には向いていないレベルの怖さであった。
昨今の深夜帯に放送されるアニメはいわゆる"萌え系"が主流ですが、
このアニメは非常に硬派に「面白い物語」という本質を追求した良作です。
絵柄も決まった層を意識したわけではない、どこか子供番組をほうふつとさせるもので、
浮世絵をそのままもってきたような背景とあいまって、冒頭でまず絵柄から引き込まれます。
そして、唐突に始まる物語が時間をさかのぼって説明されるのですが、
その手法がある意味探偵ものや推理もののようでもあります。
実際、主人公の薬売りは閉鎖された空間で関係者の事情を解きほぐして行く
という立場なので、探偵のような役割を果たしているのではないでしょうか。
ストーリーが二話、三話と進むにつれ内容がかなり重くなりますが、
そこを書ききったことでこのアニメは「大人のためのアニメ」になったと言えます。
DVDには声優さんお二人と監督、総作画の方のコメンタリーが入っていて、
ストーリーと関係の無い話も多いのですがなかなか楽しめます。
京極夏彦の「巷説百物語シリーズ」や横溝正史の「金田一シリーズ」がお好きな方
には特におすすめです。
一枚、三話で完結するところもいい。
続編が作られたその理由は是非ご自身の目で確かめてみてください。
凄く面白い小説でした。
終戦直後の日本が舞台となっており、鬱々していて、長いのですが、 それが不思議な雰囲気を出していてとても良いです。
そして本書は、 外国語で表現することは非常に難しいと思われ、 日本人でないと理解しにくいものと思います。
逆に言えば日本人でないと楽しめないし、 日本人だからこそ存分に楽しめるもので、 本書を読めることにとても贅沢なものを感じます。
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