類なき漫画です。
普通の漫画家ならこういう構成にはしません。
というか、恐らくできないと思います。
演出力や画力
キャラクターの持つポテンシャルがとんでもないので、
それ故にリメンバーは他の漫画とは基本的に「作り」が異なります。
とにかくこの漫画家がまた連載している事が何よりの幸運です。
王欣太先生をこちらの作品で知り、過去作品の『蒼天航路』を全巻セットで購入してしまいました。混沌とした焼け跡を舞台に、『蒼天航路』よりも生き生きと自由にキャラクターが動き回っているように思えます。
焼け跡、男気、チャイニーズマフィア絡みのヤクザの抗争、ピンと来たら買いです(笑)
三国志の作品をかかれていただけあって、チャイニーズマフィアの描写は大迫力。見る価値ありです。
男の世界に酔いしれて下さい。
もっと長く展開させて行く作品と考えていたが、この巻で完結となった。 その分、せっかく集まって来たZAPのメンバーたちの個々の個性が十分に描かれずに終焉に向けて激走する形となった。 本来ならあと数巻を使ってじっくりと描きたいものが作者王欣太氏にはあったように思う。 いや、数十巻の巨編にも出来る下地の作り方だったと思う。 その点、惜しまれる。
憶測に過ぎないが、編集サイドの打ち切りの判断でページ数が決められ急がざるを得なかったのではないかと思われる。そうでないなら、王欣太氏がこういう急いだ描き方はしないだろう。 人気作であるばかりに延ばし延ばしにされ、冗長になってしまったコミックを数多く見て来た。 一方で打ち切りによって尻切れトンボになった作品も数多く見て来た。 編集サイドに「良い作品を育てたい。生み出したい」という意図や志が欠如して来ているのではないかと感じることあある。あくまで、憶測の上に立った話だが。
仮にページ数を限られたとするなら、王欣太氏は限られた中で最善の終焉を描くべく努力しておられると思うし、そういう出来にはなっている。 本当にもう少し長く、精緻に描けていたらと惜しまれる部分。未消化の部分も多々あるのだが、それでもなんとか完結させてことは評価したい。 星の数は最後まで悩んだ。 内容的には上記の通り星四つくらいが妥当だと思う。 だが、私はこの作品の構想の大きさをなかなか理解されない中で、小さくまとめさせられかけた作品を王欣太氏らしいスケールで描き切ろうとした努力に星五つを贈りたいと思う。感傷的なレビューで申し訳ないが、そうさせていただいた。
この「終戦直後の日本という舞台」が「エバーランド」というエンドレンスでループし続ける仮想世界であるという設定が、前巻あたりからより明確になって来た。 そして、主人公である在津をはじめとして幾人かの記憶も蘇り始め、メンバー(ZAP)たちが集い来る。 たとえば「水滸伝」の好漢の集結を思わせるような展開だ。
ストーリーの輪郭があらわになり、王欣太氏が描こうとしている世界観が明確になるにつれ、面白みもぐっと増して来た。 もともと、絵力の強いの著者だが、この巻の登場人物の顔つきにはより強いエネルギーを感じる。 壮大な展開を期待できるリングが用意された。
単行本、文庫本、極厚と三種の蒼天航路を買うことになってしまいました。
蒼天航路は熱心なファンも多いが批判する方も多いと聞きます。演義を持ち出して批判する方は是非とも正史を読んでいただきたいです。
正史は注釈として「〜という話しもある」と複数のエピソードを列記したり、注主の陳寿や裴松之が「私はこのように思う」「私は〜というのは嘘だと思う」などという書き方で書かれています。正史においても伝聞であったり、いろんな著作からの引用であったり、その伝聞や引用を編集時に批評したりと、「真実の集大成」ではなく、出来うる限り真実に即して書こうとされたでしょうが、「かも知れないの集大成」であり、読み手に判断をゆだねる部分を有していることが理解できます。
「〜かもしれない三国の物語」ということにかけては、正史も蒼天航路も同じ「三国志」であり、演義や正史を引き合いに出して卑下されるべきものではないと思います。
「正史」「演義」「蒼天」それらに本物も偽物も史実も史実でないもありはしないと思うのです。
私は個人的に横山氏の三国志と比すれば蒼天航路のほうが格段に面白いと感じます。それは横山氏の三国志が演義をなぞって描かれているのに対して、蒼天航路が曹孟徳をはじめ三国志を生きた人間達を描こうとしているからだと思います。武将達の「人」を描くために味付けされた個性が読み手を引きつけていくのだと思います。
蒼天航路未読の方には一読を勧めたい、三国志という物語ではなく、三国志を彩る「人間」の生き様にドキドキワクワクしていただきたい。蒼天航路は必ずや未読の皆様の期待を裏切らない三国志だと思います。
|