大日座 - 美しき日本を語り伝える - 作品アーカイブ 1991〜2010
収録演目 神 男 女 狂 鬼 '91 / お琴 −星空のコンチェルティーノ− / 三島由紀夫近代能楽集より四作品 夜明けを夢見た男たち <真山青果:原作> インタビュー景 稽古風景 2010,12 / 女 殺 油 地獄 ―ひとり語り― / 原田甲斐の最期<真山青果:原作> /弥平兵衛宗清 <近松門左衛門:原作> ...
このようにあらゆる階層の人間がメキシコの街を舞台に絶妙に絡み合い、擦れ違ってゆく。この過程がオムニバスなのに良く出来ていて「あれは、あの為の伏線だったのか」と、思わされる事多々あり、です。犬を媒体にして関連の無い人生が本人達の意識を他所に引寄せあっていく過程はお見事です。
三つの話は確かに暗く、切なく、絶望というよりはやり場の無い哀しみに溢れている。でも、それが人生というものでしょうか?捨てたくても、辞めたくても、消してしまいたくても一日一日が過ぎていく。また、新しい一日が始まれば捨て場の無い人生を抱えて生きていかねばならないのが人間だ、と考えさせられた。
登場人物達の行動は一見愚かかもしれないけど、誰もそれを笑えない。昼間の乱雑で活気溢れるメキシコシティの描き方と、ラストシーンの夜のあの暗さ・・描き分けの対比からも感じ入るものがある。
トップモデルの女性が自室から自分が使われていた看板を見上げるシーン・・ガエルのラストの哀しみでも怒りでも投げやりでも無い瞳。
これらから何を感じ取るかは見る人それぞれだと思います。
只、見終わった後は不思議とイヤな感触は残らなかった、寧ろ「生きる」という事のやり場のなさ、それでも生きなければ何も起こり得ないという矛盾・・中々に考えさせられる良い作品だった。
ガエルの出世作としても頷ける出来栄えです。
一つ、動物の死骸が苦手な方は要注意です!