初聴きの感じは、何かヴォーカルも含めてメロディも掴み辛く、全体的にぼやけた感じだなあ・・・だったのですが、しかし3回目以降聴くと・・・これはスゴイ。
ヘッドホンで聴いた方が解り易いと思うのですが、ギター等の音の編み込みが物凄く丁寧でかつ独創的で隙が無く、驚きです。曲もまた然り。
全体的にエレクトリックな音色が効果的に施され、それが脳にピリピリと刺さるような不思議な快感を生み、トム・ヨークのファルセットの効いた倦怠感のあるヴォーカルと複雑に妖しく絡み合い、聴く人を心地良い奈落の底に巧みに導いてくれます。
これはロックを超えた、”全く新しい音楽を構築してる・・”と、理屈ではなく、肌で感じるものが確かにあります。
私が、音楽に魅了される一つの傾向として、” ジャンルを超え、聴いたことも無いような独創性があり、それでいて決して奇をてらっただけものでなく、揺ぎ無い建築性を感じさせるもの ”というのがありますが、このアルバムは正にそれ、いやもうそれ以上ですね。
個人的に、一番はまった曲は、5.Let Down です。
メロディに、まさにに流れるように危うく堕ちていく美しさがあり、丁寧で緻密なギターアレンジの向こうからいきなり現れる目の覚めるような煌びやかな”電子音”の効果的な使い方がスバラシク、何ともいえない恍惚感を生み出しています。
この”OK Computer” と比較されることの多い”The Bends ”ですが、どちらかと言うと純粋なギターロック志向が強く、もともと”ロック”が好きな方は、後者を支持する傾向が多いように思われます。(私の知人がそうでしたので。)このアルバムにも、Fake Plastic Trees 等の秀作が多数あります。
私は、上記傾向と音やアレンジの多面性という意味で、断然こっち”OK Computer”派ですね。
CG映像系の学生なんですが、このDVDに収録されている作品はとっても「ああ、CGってすばらしい!やっててよかった!」ってなります。CGの勉強にくじけそうな時、新しい発想が欲しいときに見ます。最新技術や、こういったやり方があるのか!!など、いろいろな発見があります。ほんま、こんな発想はどこからくるんだ・・?
使用したソフトも書かれていますし、ざっくり行程もわかります。わたしはPSYOPの大ファンなのでシェリルクロウのビデオが1番のお気に入りです!HORRORSのビデオ、あの!インフェルノをつかってるのかぁ・・。と納得。
素晴らしい作品ばっかりなので、買って本当に良かったです。
この人の作品の特徴を一言で表すなら「艶」。 ミュージシャン、そして何より楽曲(これ重要)の艶を出すのが とにかく巧い。 リンキンパークやレッチリであれば純粋にかっこよさを前面に出し、 一方、マドンナやフィオナ・アップルの様な艶かしさも素晴らしい。 そして、その究極とも言えるのが、ジョニー・キャッシュの「hurt」 この人の歩みを知らないと伝わらない部分もあるかもしれませんが、 魂揺さぶられるほど感動します。 今回同時期に出たBOXを買えない方には、一番お勧めしたい作品です。
単純なへヴィさをロックに必要とするなら、
過去のそういった類の名作を、レディオヘッドならずとも聴けば良い。
個人的に、
同じスタイルを続け、万人受けし、楽しむだけの音楽を作るなら
レディオヘッドではない。
ジミヘンも言ったように、
過去の名作の幻想にふけるなら、過去のレコードを聴いていれば良い。
アーティストは、芸術としての可能性を放棄した時点で
ただの懐メロ歌手だと思う。
そういった意味で、この作品は
まだまだレディオヘッドの音楽の、この先を聴きたいと思わせてくれる。
ちなみに、この作品の感覚としては
サイケデリック時代のビートルズを彷彿とさせて
聴く人を選ぶだろうな、という気がする。
ヘッドフォンで聴けば
低空飛行する奇跡的なグルーヴのうねりに興奮できるものの、
流し聴きや、カーステレオ等の雑音にまみれた状態で聴けば
念仏にすら聞こえるかもしれない。
【追記】その後、色んなレビューを見て感じるのは、平凡だの駄作だのといった評価が多い事と、レディオヘッドという色眼鏡だから良作と言えるなんて事があって、腑に落ちない点が多い。高度になりすぎて嫌われた後期ツェッペリンのようにも思える。もともと、好き嫌いがあって当然の音楽だという前提をいちいち語る連中が多すぎる。マイルス・デイビスだってボブ・マーリーだって退屈だという批判はあった。だけど、今はそれが個性だということで、下らない批判はなく、熱心に聴かれている。ジャズ、レゲエ、クラシックも然り、表現者の想い、歴史、創作ストーリーは芸術の一部でもある。よって、新人バンドとしてレディオヘッドを聞く必要は無い。駄作と批判する必要も無い。「フロム・ザ・ベースメント」の最新の演奏を聴いても分かるが複雑なリズムの構成であり、非常に有機的な演奏だと、より直感的に分かる。それを聴いた上で再び作品を聴くと言うのも一つの「聴き方」である。面白いのが、何だか最近のワンピース批判にも同じような特徴があって、「昔のほうがおもしろかった」というのがある。ワンピースがひとつの物語であり、面白かった過去の延長線上だということを度外視して「部分」で語ろうとしている。過去があって、今があってだから面白いし、咀嚼できる。新人バンドであれ、ベテランであれ、そのステージでの傑作をつくればいいと思う。
OK〜と共にUKロックの最重要アルバムのひとつに数えられているという話ですが、アルバム全体の評価は他に任せまして、曲の印象を記録しておこうと思います。
Planet Telexはアルバムの最初を飾るに相応しい、爽やかで奥行きのあるサウンドが魅力です。その曲名と共に、エレクトリックな領域に近づいていくRadioheadを華々しく宣言しているように思えます。このアルバムはまだそれほど接近せず。
The Bends 他のキラーチューンのインパクトに慣れてきた頃に、もはやロック・クラシック!と思えるほどスルメになっていく、グランジ系の影響を感じさせる曲です。
High And Dry 彼らの「バンドアンサンブル」の美しさが最も出ている名曲です。これだけ聴いても彼らの曲づくりに関する非凡さと熱意が感じ取れます。聴き易さはピカイチですので、激しい曲が×・沈んだ曲が×、双方の人にお勧め。
Fake Plastic Treesは本国イギリスにおいては既に「クラシカルな」という地位にあり、日本で言うならスピッツのロビンソンと同じようなところに認識されているといえばわかりましょうか、そのPVと併せて万人にお勧めしたい超名曲。
空っぽな人生と世を哀しく歌い上げているようではあるのですが、聴く者にはすごく優しく感じられる、アコースティックの音色の美しい曲で、ラストの盛り上がりは感動的ですらあります。
BonesはThe Bendsに近い音を聴かせてます(たぶん)。
(Nice Dream) なんとドラムのフィルがアコギを弾いてます! それはともかく、曲名のイメージそのままのような夢見心地の美しい旋律が続いてこれだけでも十分なのですが、後半でジョニーの歪んだギターが起こす破壊が妙に快感です。また、そのカタストロフの後に遠くから戻ってくるトムの声の美しさには、多くの人がハッとさせられるでしょう。
以上、前半について。
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