「フランケンシュタイン」とは怪物の名ではなく、その創造主ということを明確にし、更には原作とは異なり「狂気の科学者」のイメージを定着させた作品です。それゆえ、シリーズ毎に新たな挑戦をし続けるので行動の自由度があり、制限の多いドラキュラものに対して最終作まで高い質を維持し続けた記念すべき1作で、怪物よりも博士の方が恐ろしさを感じます。現在の目で見ればスローテンポですが、男爵がまともな学徒から未知に対する過剰な探究心から正邪の区別も顧みず研究に没頭していき、「狂気の科学者」になっていくカッシングの演技は素晴く、現在のCG中心に対して、手造り、演技、演出が前面に出て好感が持てます。
50年代末から60年代中盤に掛けてのハマーホラー黄金時代の幕開けを告げる傑作です。 監督:テレンス・フィッシャー、脚本:ジミー・サングスター、音楽:ジェームズ・バーナード、美術:バーナード・ロビンソン、主演:ピーター・カッシング、そしてクリストファー・リーと言ったその後のハマーフィルム隆盛の立役者となったスタッフ・キャストが揃い踏みです。 テクニカラーで初めて撮られたフランケンシュタイン物は現代の目で見ても非常に禍々しく、博士の実験室のレトロフューチャーな美術と言い、処刑場からの死体盗難の場面と言い、謎の培養液中に浮かぶ包帯に包まれたクリーチャー言い、彩色、デザイン共々綿密に計算されていた事が良く解ります。 原作にアレンジを加えた、人の道を踏み外したフランケンシュタイン博士とパートナー、ポールの愛憎入り混じった人間関係に重点を置いた脚本も見事です。 回想方式で神父に告白される信じ難い事柄が事実なのか博士の幻想なのか、証明出来るのはポール一人なのですが…。 リー演じるクリーチャーは首のメイクに甘さがある物の、長身を利したシルエットとギクシャクした動きにて哀れだが何をしでかすか判らない脳損傷を受けた怪物を熱演しています。 まだ脂が抜けていない若々しいカッシングが科学のみならず己の私利私欲の為に怪物を殺人手段に使うアクの強いフランケンシュタイン博士を好演しています。 本家ユニバーサルのフランケンシュタイン共々、時代を乗り越えた恐ろしさ、面白さを持った傑作です。 とても6万5千ポンドの低予算(当時のレートで約6,500万円)で作られたとは信じられません。 大いにお薦め。
DVDは紙カバー付きで豪華な仕様でした。 映像特典が予告編だけだったのは少々残念ですが、画像はDVDとしては充分美しいです。
「フランケンシュタイン」とは怪物の名ではなく、その創造主ということを明確にし、更には原作とは異なり「狂気の科学者」のイメージを定着させた作品です。それゆえ、シリーズ毎に新たな挑戦をし続けるので行動の自由度があり、制限の多いドラキュラものに対して最終作まで高い質を維持し続けた記念すべき1作で、怪物よりも博士の方が恐ろしさを感じます。現在の目で見ればスローテンポですが、男爵がまともな学徒から未知に対する過剰な探究心から正邪の区別も顧みず研究に没頭していき、「狂気の科学者」になっていくカッシングの演技は素晴く、現在のCG中心に対して、手造り、演技、演出が前面に出て好感が持てます。
死んだ犬を生き返らせる実験に成功したフランケンシュタインは次に死体をつなぎあわせ人造人間を作ろうとするのですが…。古い作品なので最近のホラー映画のように残酷で血が飛び散ったりすることもないですし蘇った怪物が人を殺すシーンも画面に映りません。怪物が包帯を取って顔を見せるところはなかなかいいんですがその後の暴れ方がちょっと地味です。だから物足りない人いると思いますが重厚なセットと美しい撮影がなかなかいいムードだしてると思います。スプラッター描写が少ない代わりにフランケンシュタインは人造人間用の脳を手に入れるため恩師の教授を家に招いて殺したり、妊娠したと言って結婚をせまる使用人の女を怪物に殺させたりかなり凶悪なのでホラー映画としてそんなに悪い作品ではないと思います。ただし怪物の最後があっけないのがちょっと物足りないです。
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