アメリカで挫折したミュージシャン。アメリカで出会ったレゲエバンド「ソルティー・ドッグ(マトゥンビ)」に衝撃を受けた彼は、彼らを売り出すべく日本へ帰ってくる。しかし、久々に帰った彼は仲間達、そして日本そのものが大きく変わっていることに愕然とする。ミュージシャン仲間は金儲けにしか興味がない。昔愛した女はヘロインで死んだ。兄貴と慕ってくれた男も殺された。金と欲にしか興味がなくなった国。
レゲエがいつまでも鳴り響く。踏み続けられた人間は抵抗してもしなくてもずっと踏み続けられるままのだ。彼がとった行動とは……
若松孝二監督、1979年の作品です。東京の風景はやけに人を煽りますね。その中で完全な異物として佇む内田裕也さんはかっこいいです。映画の中で描かれることは今も決して変わっていません。見返すとそのことを思い出させてくれる作品です。
内田裕也とフラワーズ「チャレンジ!」です。フラワー・トラベリン・バンドの前身。麻生レミというソウルフルな女性ボーカリストを中心としたニューロック期の入り口に位置したバンド。内田裕也御大はリードタンバリンです。でもプロデュースで偉大な仕事をしております。 ほとんどが洋楽カバー。その中でも麻生レミのボーカルはジャニス・ジョップリンのカバーで光る。これほどの女性ボーカリストが日本にいたとは驚きです。一聴の価値のあるボーカルを披露しています。 ここから伝説が生まれるのです。内田裕也御大の想いの強さを感じさせます。そして70年代に彼らの先導したニューロックで日本のロックは大きく進化を遂げるのです。ジャケットを含め、そのマイルストーンとなった作品です。
自慢話を聞かされて、こんなに腹抱えて笑えることもあまりないでしょ?! 昭和の任侠列伝のような側面もあり、最近一番笑えた本です。 なによりジュリーの男気が語られているくだり、沢田研二ファンにも必読の書であるかと。
手に取って、まず本の作りに驚く。 二つのペーパーバックが、背面でのりによってくっついていて、 買ってからカバーを取り外して二つの本に分ける体裁になっている。 カバー写真はハドソン川を泳ぐ内田裕也のカッコイイ姿だ。 カバー裏には同じ写真が文字載せなしで刷られていて、ピンナップにもなる。
二つの本のうち小説『ゲットー・ミュージック』は、 五年ぶりというのにふさわしい気合いの入りまくった長篇。 内田裕也の評伝ではなく、音楽論でもなく、日本語によるロック としか言いようがない奇妙な小説。 行間からさまざまな音楽が聞こえる。 読むと音楽が聴きたくなってくる。
もう一冊の対談集『内田裕也のロックン・トーク』は、ゲストがすごい。 野村秋介、カール・ルイス、野坂昭如、中上健次、小林楠扶、赤尾敏、スパイク・リー、 岡本太郎、新井将敬、山田詠美、戸塚宏……といった危険な面々。故人も多い。 1986年という時代の空気がよみがえってくるようだ。 どんなゲストに対しても姿勢が変わらない内田裕也の真っ直ぐさが印象的。 分厚く、凝った作りのため値段は張るが、内田裕也ファンはもちろん 音楽が好きな人は必読!
粗筋を読んでしまい、ある程度の内容は知っていたけれど、凄い映画。 決して派手ではなくて、淡々としている日常の中に内在し、じりじりと膨らんでいく狂気。この描写が何よりも凄い。そしてクライマックスは圧巻の一言。 無表情であまり喋らない内田裕也がこれまたリアルに見える。要所要所でカメオ出演する俳優、タレントも多彩で、しかもかなり若いから新鮮。 個人的に物凄く鮮烈な印象を残したシーンが幾つかあって、この映画がデビュー作である崔洋一監督を改めて凄いと思った。 特典が予告編だけなので、2001年版のDVDの特典を付け加えてもらいたかった。
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