小さい頃の記憶ほど不確かなものはありませんね。私が小学低学年の時よくわからないまま観た記憶があります。そして最後のシーンは衝撃的で鮮明に覚えているのですが、このDVDとはちょっと違ったのは、いくつかこの映画が作られているからでしょうか。そして投身する人も違いました(笑)これは私の本当の勘違い。
大人になってきちんと観てみると、なんてステキな映画なんだろうってことがよくわかりました。人は変われるものなんですね。でもそれは自分だけの力では非常に難しく、「誰に出逢うか」という運命的なものによって左右されます。ジャンにはそれがあった。新しい人間に生まれ変わる、と「promise」と小さいけれど司教様の目をしっかり見て言ったシーンに感動しました。
そして、その言葉通りに生き慈悲深い市長として市民に慕われます。
でも脱獄囚ということには変わりなく、ジャベール警部に執拗に追われます。養女コゼットとの静かな生活も終わりを向かえようとします。それにしてもコゼットもステキな娘に育ちました。養父ジャンの愛情を一身に受け、本当に素直に優しく、母親に似た美しい子です。養父ジャンと恋人のマリウスの間で悩み抜く姿も涙を誘います。
「慈悲」という言葉がこの映画ではよく使われます。「仁」ともいうのでしょうか。全体的に重く暗い感じの映画ですが、人を愛する心、思いやる気持ちが最後に光りとなって、さわやかに幕を閉じます。
とてもステキな映画です。是非ご覧ください。
とても魅力的な3人のキャラクター。きっと3人のアクター・アクトレスを念頭において、脚本が書かれたに違いない。あまりにも役柄にピッタリとはまった配役だ。それにしても今から思うとなんとユマ・サーマンの使い方が新鮮なのだろう。今の彼女から考えられない役柄だ。自然でチャーミング、そして主人公のアビーを演じるジェニーン・ギャロフォロは、日本では見かけないタイプだが、そのオリジナリティー溢れるキャラクターは、とてもリアルで共感できる。そして、ブライアンを演じるベン・チャプリンも、イギリスのアクセントが新鮮。誠実な男性をとっても魅力的に見せている。
作品のできに関しては、ほかの方のレビューにあるように非の打ち所がありません。今、このキャスティングで作品を取ろうとすると、ギャラだけでも莫大な額になるに違いないし、下手な監督だと『オーシャンズ11』のような駄作になってしまう。ただ、購入後、残念に感じたのは字幕で英語を選択できないことです。個人的にはスラングも含めて、どのようなことが話されているのか英語で知りたかったので、やはり字幕をつけてほしかった。日本語の意訳では味わえない生の会話を知りたかったからです。
これまでも何度も映画化された名作ものですが、最新作のこの作品は一味違ったより深みのあるものになっているような気がします。それはまずキャスティングにあるのでは。ジャン・バルジャンを演じるレーアム・ニーソンも好演でしたが、長年の宿敵、シャベール警視の人間像の描き方に感銘を受けました。この映画だけでも、すでに3度見ていますが、病的なまでに執拗で、法に厳格なシャベールは軽犯罪でも過剰なまでに憎みます。20年近い刑期を終え、仮釈放されたジャン・バルジャンをさらに10年以上も執念深く追いかけ、その追求の度、ジャンバルジャンは逃げざるをえなくなるのですが、なぜ、かくも執拗なのか。それはシャベールの出自が大きく影響しているのでしょう。彼は娼婦の子です。彼もそれを隠しません。だからこそ、異常なまでに犯罪を憎み、ジャン・バルジャンを追い詰めるのでしょう。19世紀はじめから、中期に至るまでの30年間の時代、最後は舞台をパリに移し、パリ・コンミューン時、長年の二人の奇妙な関係に終止符が打たれますが、その経過の中で、シャベールは徐々にジャン・バルジャンの人間性に心を惹かれ、いったん逮捕した後、釈放し、自ら手錠を自分にかけ、なんともいえぬ顔をしてセーヌの川に身を投じます。このあたりのジェフリー・アッシュの演技には心を打たれます。名演でしょう。本当に上手い俳優です。だから何度も見るのでしょう。シャベールを残酷な警察官として描くのではなく、彼も悲しい過去をもつ一人の人間として描いていることに魅力を感じたのだと思います。映画の後半では、シャベールの方に感情移入する自分を感じました。それとコゼットの母親役を演じた薄幸な女性を演じたユマ・サーマンが美しく、印象的でした。いい映画です。
この監督は『現実的』に映像を撮る人ではなく、映像をどのように撮れば格好良いのかという事を考えながらカメラを回すタイプの監督でしょう。 ですから、作品にリアリズムを求めてはいけないかも知れません(写実的とか現実的な『何か』を求めて、彼の作品を楽しむ事も勿論出来ますが)。きっと監督もその辺の観点を心得ていることでしょう。 映画は楽しい@面白い@最高の娯楽だ@少年時代に観たあらゆる衝撃的な映像が大好きだ@という観点で彼の作品を観ると、大変面白いですよ。
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