主人公・津田皓三は、少年向け啓蒙雑誌の編集長で、歩く百科事典のような知識の持ち主、という設定。何かにつけて、自分の知識を口に出さずにはいられないようだ。 作者はヴァン・ダイン風を狙ったことだろうが、今日では、むしろ京極夏彦のシリーズ物を軽快にしたような印象を、若い読者に与えるのではなかろうか。 トリックの解明に至るまでの薀蓄が長くて、トリック自体はどうでも良くなってくるような感じも、あのシリーズと似通っている。 それでも、『古墳殺人事件』の真相は、この作者の長編では『上を見るな』などと並ぶ“大技”であり、良くも悪くも、読後の印象は強烈だと思う。
ローカル局で放送されていたのが面白かったので買いました。 江戸三十六番所頭取・花房出雲を筆頭に、番所の面々で凶悪犯を倒し、事件を解決します。 作者は推理小説家なので若干の推理要素もありますが、そんなに深くもなく、あっさり理解できます。 江戸の雰囲気を楽しむ意味でも、活劇モノを読む意味でも、悪くありません。
ただ、内容がサッパリしすぎていて、読了感というか、値段の割りに合いません。なので星を一つ減らしました。 続巻が出ていたら評価も変わっていたかもしれません。
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