Kill Bill: Vol. 1
サウンドトラックとしては最高でしょう。
未だ観ぬ「キル・ビル」の世界が窺えます。ただ、純粋に音楽を楽しむには「?」です。
ラスト5トラックには効果音が収録されてあって、これはタランティーノのこだわりなんでしょう。タランティーノ並にB級映画を愛している人にしか理解できません。
しかし、いきなり演歌が流れてきた時にはビビリました。
キル・ビル Vol.1 [DVD]
まさに映画革命!マニア映画ネタのパッチワークで映画1本作っちゃった!!
このシーンの元ネタは何の映画なのか、サントラの3曲目は何の映画の主題歌なのか、
そういった映画の外側から映画を楽しめる初のメジャー作品。
で、そういった視点を排除して見ると果たしてどれだけの人がこの映画を楽しめるか?
かなりの問題作です。
まず、最強の武器がカンフーと日本刀で、警察というものが全く存在しない世界を受け入れなければなりません。
つまり、SFかファンタジーとして見る必要があります。
暴力描写も容赦が無く、噴出す血糊も"つゆだく"です。
並みのホラーをみる以上の覚悟が要ります。
それなら単にアクション映画としての出来はどうかというと、実は監督自身アクション演出の経験が無く、
動きに必然性が無い上に画面の緩急も保てず散漫な印象を受けます。
及第点といったところでしょう。
僕が見た映画館では席を立つ女性やカップルが目に付き、やはり見るものを選ぶ映画なのだと思いました。
やはりここは躍動する最高のサウンドトラックに合わせてリズムを取りつつ、
ゲラゲラ・ニヤニヤ笑いながらシーケンスを楽しむのがこの映画の正しい視聴方法のような気がします。
でも、もしこの視聴法が正しいとすれば、この映画は間違いなくクエンティン・タランティーノの最高傑作であり、
他の作家が及びも付かない新感覚映画ということになります。
なにせ圧倒的に音楽と映像のマッチングがすばらしく、極上の映画体験が得られます。
まぁこれは、監督渾身の一人隠し芸大会なんですから、お祭りは楽しまなくちゃ損です。
でも、折角あんなカミまくってでもサニー千葉を画面に引っ張り出してきたのに、
日本刀のチャンバラがちゃんと出来てなくて残念。
舞台は日本なのに完全にカンフー・チャンバラでしたね。
一音入魂!全日本吹奏楽コンクール名曲・名演50
タイトルの通りです。吹奏楽コンクール全国大会で演奏された数々の曲から
「50曲(アレンジ20曲、オリジナル16曲、課題曲14曲)」の名演奏を紹介した
一冊(前書でも触れられていますが「笑ってコラえて!吹奏楽部の旅」に触発
された、換言すればあの番組があったから日の目を見た一冊かもしれません)。
結果的には全国大会常連校の演奏を取り上げることが多くなるのですが、編者
は文字の限界を理解しているようで、名演及びお勧め演奏が収録されたCDの紹介
も行っており、この点は読者に対して(この本を手に取る人は現役よりは昔を
懐かしむ人の方が多いだろう)親切だと感じた次第。
他にも基礎データ(うんちく?)として、全国大会での演奏回数、金銀銅の
受賞割合、作曲家のミニ情報、当該曲や演奏にまつわる小ネタ、コラムなど
読ませる工夫が出来ています。
吹奏楽名曲ガイドとして見ればこの本は読みやすさ・入手のしやすさから
してお勧めです。
ただ惜しいのは後書で「『本格的ノンフィクション』を書くような意識で取材
し・・・」と書かれているのに、主役の演奏家個々人に迫った点が無いのです。
(指揮者=部活動の指導者については(過去のインタビューか?)多少なりとも
記載有)
時間と予算の制約はあるでしょう。でも、折角前述したような志を持って
今までにない本を作ろうとしたのです。昔の音楽少年少女に話を聞きに行って
も良かったのでは?逆にそこまで迫って欲しかった、とページをめくる度に
思った次第です。