著者の長年に亘るオーディの体験に裏打ちされた、感性主体のオーデォ論。歯切れのよい評価は、読んでいてもえせ評論の多い中で小気味良い快感を感じる。また、体験による部分が多いため、時代を経ても現在でも使える部分がある。再度、良い音とオーディオを考えるきっかけになる。
剣の描写が非常にリアルで読むものをぐいぐい引き込んでいく。五味康祐が剣豪小説ブームを引き起こしたというのも理解できる。 とはいっても、著者の古風な文体は読むものを選ぶであろう。そこで、本作。異色作の「一刀斎は背番号6」が含まれている。 これだけは現代(といっても昭和30年代)を舞台にしているので、文体も現代調。一刀斎の技(?)も冴えわたる。まずはここからはじめてみてはいかがだろうか?
テレビ放送時、毎回泣きながら見ていたのに、DVDも同じように泣いてみています。この人のように、少ない口数なのに的を得た物言いができる人物になりたいです。
丹下左膳をあからさまに意識した、丹下典膳という 剣士が赤穂浪士の討ち入りを背景にして、 活躍する、というより、 一途に生きていく様を描いた、地味ながら心に残る 作品です。
静謐、という感じがします。
どちらかというと、山本周五郎の小説に 近く、五味さんのオールラウンドプレーヤーぶりが 窺えます。
ストイックに、妹の幸せのために、おのれの名誉を 捨てて生き、死んで行く典膳の姿に熱くなります!!
五味さんはあまりセンチな話を書かないので、 この小説は異色とも言えます。
斬りあいや陰謀術策、あるいはもっともらしい人生訓、 だけを時代小説に求めないで、 こういう作品も一度読んでほしい!!
行きがかり上のトラブルが発端となり、同門の一派から恨みを買い、妻をレイプされた旗本・丹下典膳(市川雷蔵)。 武士としての面子から、親族や世間に対しては、自らの体を張ってまで、「妻の不名誉」を隠しつづける一方で、その妻に対しては、「(レイプされたことは)そちの罪ではないから、とがめはせぬ。とがめはせぬが、そちの体を許せぬのだ。」と別れを告げる典膳。 この映画、チャンバラ・シーンや役者の「古典的演技」はあるけれど、時代劇という枠の中にくくられる作品ではないと思います。どんな男女の間にも存在しうる、普遍的なテーマを真正面から問うています。 職も財産もなくし、ひたすらレイプ犯への復讐の時をうかがう典膳。 しかし、その先には、あまりにも壮絶な結末が用意されて??る・・・この物語。 果たして、これを愛と呼ぶのでしょうか? 私には、もう、判断できません。
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