それまでの世界滅亡とか神と悪魔の戦いとか宗教的価値観、そう言った人類史的マクロな視点で描かれた女神転生シリーズで文字通り分岐点となった作品がこの『if』。デビルサマナーやペルソナ、デビルサバイバーなど、普通の生活環境を舞台とした展開に本作以降シフトした。
どこにでもあるようなごく普通の高校、軽子坂高校。しかし、ある日突然校舎は魔界に放り込まれ、残っていた生徒達は窮地に立たされる。
主人公は脱出を、或いは救済を意識する四人からパートナーを選び、事件を解決する為のアクションを起こす。
パートナーごとにストーリーがあり、エンディングも違う。また、攻略の難易度も異なる仕様になっている。
チャーリー 低レベルでのエンディング。ただしラスボスの力は標準なので攻略する工夫は必須。
ユミ 標準的な物語。ある意味で自己満足で終わる気持ちのいいエンディング。取り敢えず一番最初におススメ。
レイコ この物語の真実にただ一人近付く事ができる存在。最終ダンジョンに入れるのは彼女だけであり、真のラスボスに挑めるのも彼女のルートだけ。最終ダンジョンのイベントはことごとく辛い物ばかりだ。
アキラ 他の三人とは根本的に異なるルート。物語の裏側に位置する。果てしないダンジョンと不便すぎるマップを彷徨う事になる。その難易度は最高。ラスボスが力不足に思えるほど。アキラルートに進む場合は他の三人の誰かで一度クリアする必要がある。
残念ながら一つの物語をクリアしても引き継ぎなどは無い。ただ、四つのルートを制覇した時、真のエンディングが始まる。………それは、本当の戦いへの誘いなのだが。
本作のガーディアンシステムはのちのペルソナに影響を与えた。ガーディアンをいつ交代させるか、必要な魔法をどうやって得るか、そんな二律背反がプレイヤーを悩ませる。
更に、本作は悪魔合体や魔法継承、悪魔会話など他のシリーズを置き去りにする異常に高い完成度を誇る。真面目な話、このゲームに囚われたら他の作品では悪魔合体に満足できないほどだ。
最後に一言。この作品で魔王ルシファーを仲魔にした者は勇者である。
クセのあるキャラクター、クセのあるシステム、クセのあるストーリーはともすればプレイヤーを選ぶかもしれない。だが選ばれた人は幸いだ。主人公=自分であるこのゲームをプレイする事で、神と悪魔と人間に翻弄されながらも自分の道を切り開き成長していく過程を疑似体験できるのだから。
舞台が現代で話に入り込みやすく、ダンジョンやマップが無機質で余計な感情やストレスを感じなくて済む。悪魔達のシンプルながらも活き活きとした会話が非常に良い味を出していて、仲魔にするための駆け引きもスリリング。
真・女神転生の外伝として作られ、グラフィックや音楽も1・2からの使いまわしが多い
本作ですが、自分としては90年代のメガテン中最高傑作だと感じています。
ペルソナのベースとなるガーディアンシステムやデビルサマナーにつながる
シナリオにロウ、カオスの属性が絡んでこない事、
制作期間は短かったものの、確実に現代メガテンシリーズへのマイルストーンになっている。
本作はラスボスのハザマが作ったキリスト教の七つの大罪(ただし姦淫以外)をテーマにした
魔界のダンジョンを冒険していくわけですが、要するにラスボスから大罪にかこつけて
色々と嫌がらせをされるわけです。
『傲慢界』ならば謙虚でなければクリアできないみたいな。
最初の魔界『傲慢界』はダンジョンはしょぼい作りでザコも弱く簡単にボス部屋まで行けてしまいますが、
それをいいことにロクにレベル上げをせず、道中のハエ男の「魔力を上げたほうがいいよ」という
忠告も無視してボス部屋に突っ込むとボスの最強電撃魔法マハジオンガで一発死、という感じで。
それぞれ、大罪テーマの魔界ではあっても開発
スタッフの『悪徳』に対する考えが面白い形で
表現されているのが、ユミ、レイコ編最後の魔界『貪欲界』。
ここのボスは途中の宝を取った分だけ強くなる。一つも取らなければ貧弱な小動物の姿で
1、2発殴ればくたばる。しかし、全部取ろうものなら凶悪な化け狐の姿で
物凄い強敵となって襲ってきます。
無欲の美徳を体現して宝を取らなければ楽にクリアできる『貪欲界』。
だけど、これはRPGです。
何かを選んでゆくのなら何かを切り捨てなきゃいけない?
ダボが!! 眠たい事言ってんじゃねー!!
宝も最強ボスの経験値も全部持っていくに決まってんだろが!!
と、言う訳で大概の人が宝を全部取って最強バージョンのボスと戦うと思われます。
アトラスの開発
スタッフはおそらく『貪欲さ』を悪徳だとは思っていないのでしょうね。
ハイリスクハイリターン、正に”漢(おとこ)”!!
ステキな考えです。
あと、このソフトには『メモリーチェック
ボーナス』と言うものがあります。
これはメモリーカード内にアトラス製品のセーブデータがあるとそれぞれの
タイトルに応じた
特典が得られるという、龍が如く5なんかにもあるヤツです。
セーブデータはネットで探したりもできるでしょうし、
中古販売サイトやネット
オークション等で昔のディスク付きプレステ専門誌なんかを探せば
安く手に入ると思います。
『
スタッフ自ら選りすぐった』とあるだけベストな内容!
ゲームは知られているがサウンドも本当に良い。
バトルシーンは激しいハードロック!
廃虚シーンは絶望な感じを良く表している。
『if...』や『NINE』の曲も多少ながら収録されている点も大きいですね。特にアキラ編のバトル音楽はカッコいいですよ。
1作でも女神転生シリーズをプレイされて『音楽がいいな』と思えたら未プレイでもこのサントラを聴いて見る事をオススメします。