初めに収録内容から。
Disc 1 (51min.)
Live In Studio
01.Inside (acoustic ver.)
02.Crumbled (acoustic ver.)
03.Corroded
04.Nowhere
05.Desecrate
06.Light to Die
07.Lie Waste
08.Folie A Deux
Live In France
09.Live & Off Shot
Disc 2 (120min.)
Live At Shibuya Club Quattro
01.Hang Veil
02.Reality
03.new song
04.Desecrate
05.Labyrinth
06.Light to Die
07.What's
08.Nowhere
09.puppet
10.Cray Life
11. 5885/0
12.Life Is Not Fair (acoustic ver.)
13.Fight Out (acoustic ver.)
14.A~La~Z
15.ill-treat
16.Shit Now
17.Free Fate
18.f's
19.Endless Line
20.Alien Blood
21.Sixoneight
Encore
22.Snares
23.Chain
Disc 1にはスタジオライブと
フランスはマルセイユで行われたJAPAN EXPO SUDの映像が、
Disc 2には2011年2月4日にクアトロにて行われたツアー最終公演の模様が、それぞれ収められている。
本作の制作は多大なトラブルに見舞われ、リリース中止すらあり得たのを乗り越えての完成となった。
その経緯についてはBURRN!8月号や激ロック誌のインタビューで詳しく語られている。(後者はオンライン上で読める)
端的にまとめると「クアトロ公演は機材トラブルのためほとんど録音できていなかった」が、
「可能な限り音を拾って」本作のリリースに漕ぎつけた、といったところである。
よって、クアトロ公演の映像は音質的にはいいものではなく、
その欠落を補完するかたちでスタジオライブの撮影を急遽取り入れることにしたようだ。
しかし、怪我の功名と言うべきか、当日のライブをそのまま再現するかのような生々しいライブ映像と、
迫真のスタジオライブ(音源未発表の"Crumbled(acoustic ver.)"収録)の両方が見れてしまうという、
ファンにとっては一挙両得のとてもうれしいヴォリュームの作品となった。
(なお、
フランスの映像は10分くらいで「オマケ」みたいなものである)
肝心のクアトロ公演の音質だが、確かに粗い音であるもののライブの生々しさを伝えるに充分な音質であり、
また、その撮影方法の特異さ(運動量の多いメンバーを捉えるカメラワークの荒々しさ)も相まって、
却ってその場に居合わせているかのような臨場感を生むことに成功しており、
結果的にマイナスどころかすべてがプラスに作用したように思えてくるのだから不思議なものである。
それだけの迫力が伝わってくるのは、彼らのライブそのものの強烈さがあってのことなのは、言うまでもない。
キレイな映像、クリアなサウンドのライブDVDに馴染み切ってしまったわれわれにとって、
「ロックバンドのライブを再構築するDVD作品とはいかなるものか?」という問いをも秘めている、と言える。
また、日本のバンドでは初となるスタジオライブも変わった作品となった。
リハーサルともライブとも言えない、じつに境界的な「場」によるパフォーマンスは、
たしかに音も映像もキレイなのだけど、のんびり見ていられるような代物とは程遠い。
それがどこであっても、まわりに誰がいようと、音楽に没入することのできる彼らの特異性が際立っている。
楽器をやっているひとにとっては、機材や手元がたびたび映し出されることも高ポイントだと思う。
HPPのライブを観たことのあるひと、ライブはないけどCDは持っているというひとは当然必見。
このDVDで初めてバンドを知ってしまう、ということさえ「
アリ」なほど、充実した作品である。
付言すると、これはHPPが4人体制になって初の作品でもある。
これまでの集大成であると同時に、これからの出発点でもある。
本作を見たすべてのひとは、今後の活動に期待せざるを得なくなるだろう。