土間
犬コロだけがみてきた、家族3人の物語。
前半では、家族3人がそれぞれに土間
犬コロとの物語を語っている。
親しくもやはり同じでない捉え方を持つ3者の関係性に緊張感さえ感じられるが、
それこそが互いの自律性を重んじる深い愛情表現なのであるという立場が凛として貫かれている。
各物語の結末では、涙がこらえきれない。
後半は、夫婦それぞれのライフヒストリーになっている。
互いの存在によって、自分に素直であり続けることを支え合っている夫婦が、
そうであるがために向き合わねばならなかった苦悩と、そこからそれぞれが見出したものについて述べられている。
私達は本当に自らの価値観に基づいた決断によって、私達の命(ライフ)を「手作り」しているだろうか。
この本は読む人に、人生を「手作り」する楽しさと、私達の生活にあるべき「生」の予感を与える。