そもそもこの
タイトルの出所が、アメリカ映画「王様と私」のナンバーなのだから、リメイクで里帰りしたと言えるだろう。ただ、日本映画の一大傑作であるこの映画のストーリーは、あくまで「日本の中年男」の心情を描いた映画で、そのままアメリカナイズしても成功するものか、見るまでは大いに疑問だった。夫婦関係や社交ダンスの捉え方が日米では決定的に違うはずだから。しかし、結果的には、その「日米の違い」を逆手にとった脚本が見事に成功していると言える。草刈民代さんの俗世間離れしたヒロインに比べると、ジェニファー・ロペスはフツーの「ダンススクールの姉ちゃん」に見えるのが何とも違和感があって、日本版と対照的なキャリアウーマンの奥方のほうが、ずっとかっこいい存在に見えてしまったのだが、クライマックスに主人公が正装して花を贈る対象が奥方だったという、ヒロインはむしろ奥様というオリジナルとの逆転発想が、お国柄を反映してなかなかいい結末になっており、すっかり納得。日本の亭主がこれをやったら絵にならないが、リチャード・ギアならサマになる。渡辺えり子や
竹中直人にあたる役者も、なかなか面白いキャスティングで楽しめる。オリジナルの精神を尊重し、いい意味でのアメリカナイズが成功して好感の持てる出来上がりと言っていい。
アメリカ人が作った『Shall We ダンス?』
初期のピンク映画はいざ知らず、
メジャーで公開された「ファンシイ・ダンス」「シコふんじゃった」「Shall We ダンス?」、3作品すべてを一級のエンタテイメント作品に
仕上げた周防正行監督は日本映画を代表する監督の1人だ。
周防監督の『Shall We ダンス?』はアメリカでの興業も大成功し、黒澤作品の記録を塗り替え、最大の興行収入を記録した。
その、『Shall We ダンス?』全米公開顛末記を監督自らが記した「『Shall We ダンス?』アメリカを行く」は、映画興業システムの違いを通して見事に日米文化の差を浮き彫りにした好著だったが、2004年に
ハリウッドでリメイクされた『Shall We ダンス?』の製作を巡っての顛末記を描いた本書もまた、日本文化とアメリカ文化と間に横たわる深い溝を、面白おかしく伝えてくれる。
映画に興味のある人や、日米文化の違いに興味のある人には、超が付くほどのおすすめ本だ。
ストーリー自体、淡々と、でもとってもユニークにすすんで行くので映画そのものを楽しめるのはもちろんですが、ひとつひとつのセリフが全然長くないので、日本語でセリフを聞きながら「
英語ではこういうふうに言うのか~」なんて、余裕を持って見れちゃいます!
オーストラリアの高校で、ボランティアで日本語クラスのお手伝いをしてた時に、先生もこのビデオを生徒に見せてましたし(大うけでした)、今私は
英会話学校で事務をしてますが、そこの日本人教師も、初級の生徒さんにこのビデオをオススメしてましたよ!
特に、日本語らしい言い回しがたくさん出てくるので、
英語では全然違った表現になっていたりするのが面白いですね!
リチャード・ギアはばっちりハマり役だし、ジェニファー・ロペスは、草刈民代さんより、セクシー&ワイルドだし、他の面々も個性豊かだし、原作を崩さず、しかし、違った、アメリカらしい乾いた感じも軽くって、楽しかったです。それにしても、リチャードギアのかっこいいこと!やっぱり、この男ほど、タキシードと赤い
薔薇の似合う男はいませんな〜。それに日本ではあまり知られていませんが、ミュージカルにもたくさん出ていて、歌も踊りもうまいんですよね。あんなエンディング、この男以外だったら、超ブーイングですよー。しかし、Rギアなら許せる。現にそばでみていたデパートガールのおねえさんも感動してないてたもの(笑)。奥さんが「なぜ、ダンスを始めたことを隠していたの?」と聞くシーンがあるのですが、その時、夫は「こんなに幸せなのに、もっと幸せを求めていることを知られるのが恥ずかしかった」みたいなことを言います。これって、わかりますよね〜。幸せでも、満ち足りていても、心に空虚を感じることがあるんですよね〜それが人生のたそがれ=中年=に突入したって言うことですよね。中年のおじさんではなく、おばさんにとっても楽しめた作品でした。