まず、主役は
木村拓哉だが彼は俳優ではない。だが主役を自然に演じていた事は評価できる。方言も全編を通して自然に話していたし、剣道をやっていただけあって殺陣もよかった。彼の演技に対する批判の原因である「キムタク語」も、時代劇なのでもちろんないのでその点では安心して見られる。盲目になってからも、明らかに演技をしているというわざとらしい演技ではなく、自然体でキムタクを主張する事なく落ち着いた演技をしている。だが、さすがは
木村拓哉というか存在感はある。檀れいは初めてにしては頑張ったと思うし、笹野高史はさすが名脇役という演技、
桃井かおりの存在感もさすがと共演者も素晴らしい。
「華麗なる一族」も原作が好きなので全話見たが、見て感じたことは、彼のイメージに関係なく演技させようと製作陣が思えば、彼はそれに応えるだけの力量を持っているのではないかと感じた。それまでイメージ通りに演じさせ過ぎた結果、批判に繋がってしまったと思われる。
そしてこの作品は、時代劇としては異例の興行成績を記録した。その事に関して、興行目的のために
木村拓哉を起用したと主張する人もいるが、主役を演じられるだけの力量があると判断しての起用だと思う。俳優を本業としていない割には、この作品の主役を見事に演じて見せたと思う。これまでに確立された「キムタク」のイメージを引きずり、その彼が主役を演じている作品だからと偏見を持って見られていることが非常に残念である。
この年にして、藤沢周平デビューである。別に時代小説が嫌いなわけではなく、むしろ好きな部類に入る。池波正太郎・吉川英治など大好きである。ただ、藤沢周平に関してはなんとなく読む機会がなかった。ただそれだけのことである。
そして、蝉しぐれである。
さわやかで
清涼感にあふれているのだが、一番印象深かったのは「深いなぁ」ということだった。とにかく、書かない。これでもかというほど、行間を読むことを要求してくる。もともと新聞小説だから、読者の興味を翌日まで引かねばならないこととも無関係ではないだろう。
こんなに、読者にゆだねていいのかと思うほどである。
安っぽい恋愛小説ばかり読んでいる人にぜひ読んでもらいたい極上の一品である。
こんな生き方もありき、だと思いました。男が、今となっては一緒になる事も叶わない好きな女性を命を懸けて守ろうとする行動。又、その行動と絡む?尊敬する亡き父への想い。
展開の仕方が、次々見たい!という衝動にかられます。又、描き方もふざけず真面目ですので、すごくいいです。