タイトルの剛毛があまりフューチャーされておらず
ただ単に学校内で校長や男子生徒に凌辱されるありきたりの
作品になっていて残念・・・もっとマニアック路線にして欲しかったし
剛毛にもモザイクがかなり被っていてダブル残念
大変良く出来たドラマです。
映像の見せ方や映画にリズム感もあって、
観客に楽しんでもらおうとする
スタッフ、キャストの
意気込みが窺えます。
但し、サービス精神が過剰なため、
感情を刺激するための演出がくどく、
ラストシーンなどは、
余韻の長さに興ざめてしまいましたが…
そして、この映画の根本で不満に思うのは、
原作『納棺夫日記』と違って、
主人公の納棺師を、死者のための『おくりびと』ではなく、
親族のために働く『おくりびと』として描いているので、
原作者が死体と接するうちに芽生えた宗教や死生観が
削ぎ落とされて、死を現象としてしか捉えていないところです。
死体に群がっていた蛆虫から命の光を感じて、
あらゆるものが光り輝いて見えるようになり、
死体に対して嫌悪感がなくなったという原作者の感情は無視され、
現世と浄土(死後の世界)の橋渡し役としての納棺師ではなく、
職業としての納棺師として描いてしまった本作は、
死を安易に娯楽映画の題材として扱ってしまったと
言えるのではないでしょうか。
因みに、この映画に原作者名が記されていないのは、
原作と映画の間に一線を引くために、原作者自身の
要望で決められたようです。