最近の滝沢先生には珍しく、ちょっとサスペンス
タッチな新作、「空のしるし」。
あとがきを読んで納得。映画「金田一耕助シリーズ」の「悪魔の手鞠歌」の雰囲気を出したかったとの事。
個人的には、滝沢先生の「キ-108改帰投セズ」や「フーファイター」が好きなので楽しめました。UFOや「アレ」を使ったレーダーは出てきませんが。
あとがきにて、この新作は膨らませたいとの事でしたので、連載とかになったらいいのですが。
そのほかの作品は・・・
日中戦争で、96艦戦を駆る搭乗員の話、「大陸基地航空隊」
99艦爆の血気盛んな搭乗員と、冷静なベテラン搭乗員との温度差を扱った「海鷲の落日」
こちらも血気盛んな三式戦「
飛燕」の搭乗員の、海軍「零戦」搭乗員、技術者との交流、そして成長を扱った「
飛燕」
陸軍に設置された雷撃部隊。それを指導する海軍のベテラン搭乗員との確執、和解を扱った「海の陸鷲」
実在したB-29への特攻隊「震天制空隊」。そこに配置されたものの、体当たりを拒んでしまう主人公と、そこに手を差し伸べたベテラン搭乗員の物語、「震天制空隊」
日々常連化していく体当たり攻撃「特攻」。そんな中、通常攻撃に徹する部隊があった。この期に及んでの通常攻撃に疑問を感じる主人公に、通常攻撃を徹底的に教え込む教官の話、「明けの
彗星」
日本軍に占領されているものの、アメリカ、日本、両軍から見放された孤島に不時着したアメリカのC-47輸送機。捕虜となったC-47のパイロットは、日々病に倒れていく孤島の日本兵達の扱いを疑問を感じる。そんな中、日本軍の整備士が考えたのは、島に片肺状態で放置されてる百式司偵にC-47のエンジンを移植し、日本軍占領地に薬品を貰いにいく事だった。「旭と星」
8月15日、終戦。
九州のとある基地でも流れた玉音放送に涙する日本兵達。そんな中、着々と武装解除を進める主人公 東をよそに、終戦を受け入れられない搭乗員 根岸は、休戦協定締結のために米軍占領下の沖縄に向けて飛行する日本軍使機を撃墜して、終戦を白紙にする計画を東に語る。「8月19日の戦争」
どの話も骨太で楽しめます。
画風のバラつきがありますが、「震天制空隊」と「空のしるし」は20年ぐらいのギャップがありますので仕方ないかと。
ひとつ嬉しかったのは、「明けの
彗星」での誤字が修正されているのが嬉しかったです。今までの同作掲載時は、主人公が「白菊」を追跡するシーンで、乗機が「
彗星」なのに「『白菊』より『零戦』のほうが速いはず」になっていましたが、今回はちゃんと「零戦」が「
彗星」に直されていました。ちょっとした事ですが。
久しぶりに読み返せた作品も多かったので、良い買い物をしました。