1937年の夏の初め、アメリカの女性ジャーナリスト、ニム・ウェールズ(「中国の赤い星」のエドガー・スノーの妻)は、延安でひとりの朝鮮人に会う。魯迅図書館で英文書籍借り出し人の名簿を繰った時に、ひとりの突出した濫読家を見つけたのだ。金山(キム・サン)と名乗る彼は知性あふれる青年であったが、写真を見る限りではひどく痩せており一種の老師の風貌さえたたえている。(32歳だという!)ウェールズは彼が軍政大学の教師と言うのは仮の姿で中国共産党員であることを見抜き、伝記を書かせてほしいと頼む。そんなときに盧溝橋事件が勃発する。
その7月7日、ウェールズは「日本と中国の全面戦争が始まるのか、まだ妥協と和平の道があるのか」道が見えないまま、キム・サンに聞く。「戦争は避けられません。とうとう来たのだと思います。今度の事件で戦争にならなくても、次かその次の機会には始まります。日本は経済的帝国主義の緩慢なプランを実施するだけの資金的余裕がないから、軍隊を使って強盗式戦術を取り、軍事行政両面での徹底した強奪をやらねばならない。財政面が弱いので、中国と経済的な提携関係を築くことは出来ない、中国を安全に搾取しようと思ったら、先ずその力を潰しておかなくてはならないというわけです。」
彼はいうなれば、無名の知識人の一人に過ぎない。その彼が、当時のアジア情勢についてはおそらく世界最高水準の客観情勢を語っているのだ。当時の蒋介石の中国国民政府と中国共産党は敵対関係にあった。しかし彼は明確に日本と蒋介石が手を結ぶことは無いと分析していた。
未来を見通す力はどこから来るのか、そのひとつの秘密がここにある。
やがてキム・サン(これは偽名である。ついに彼はウェールズにも明かす事はなかった。)は、自らの波乱万丈の半生を語りだす。
1個100円のたい焼きが一日100個売れて・・・をベースに、たい焼き屋さんが売上げを伸ばすための顧客ロイヤルティの話しが冒頭にあり、これが非常に惹きつける内容です。
そのための可視化、目標という視点、それらを「肌ポリー」や「計るだけダイエット」、「なめこ栽培」などの話題を活用して、ゲーミフィケーションのフレームワーク序盤として解説がどんどん読み進めやすくできています。
その後、オンボーディングというフレームワーク要素を、「高機能
電子レンジ」に例えてなぜ必要なのか、なにが肝要なのかが分かりやすく示されており、ここまでは納得感があり。
(フリーミアムやGoogleの例も引っ張り出すとは)
でも、次の「
ソーシャル」、「世界観」はハーレーの話が長過ぎ。
ディズニーも良い例だと思いますが、このLeve3は詰めれば1ページでも終わる解説を引っ張り過ぎかと。
そして、セブンイレブンの冬に冷やし中華のケースで解説する「チューニング」、「上級者」のLevel4は、ゲームとしての必要性がしっかり解説できています。
秀逸は、その先の「ゴール」と題したフレームワーク要素で、AKB48が総選挙だけでなくじゃんけん大会をやる目的、意義の解説。切り口、視点は納得感充分です。
なので、「ゴール」という(
英語)より「目的」「意義」(日本語)の方が良いと感じました。
最後は「おもてなし」と日本流、国産ゲームから発展したゲーミフィケーションという学術であることを締めくくる内容です。
毎朝30分×4日で読み終わったので、いつも本を読み切るのが困難な方にもお薦めです。