フレミングはさすが、円熟したヘンデルの
アリアを聞かせてくれます。秋から冬への長い夜に暖かい部屋で聞くのは最高です。しかし、斬新性や進取性といったものは期待できないのでしょうか? 最近のバルトリみたいにサリエリ(モーッアルトの天敵)の
アリアとかを聞きたいものです。 その点でマイナスとしましたが、バロックオペラのオムニバスとしては非常に良いCDだと思いお勧めします。
1998年に中央公論社から出た『オケのなかの蛙、大海に挑む』と、1995年に音楽之友社から出た『続・オーケストラは素敵だーオーボエ吹きの修業帖』を再構成したものが本書。
ドイツでの修行を終え、日本に帰国した著者が経験していくさまざまなコンサートについて書かれている。N響の一員としてヨーロッパを歴訪するところでは、国によって聴衆の反応が違って面白い。また、日本という「音楽の田舎」から来たオーケストラが、本場でどのように受け入れられ、排斥されるかも。
個人としての著者が関わるコンサートも個性的だ。久石譲氏に作曲を頼んだり、録音に四苦八苦したり。
とにかく飾らない文体がいい。オーケストラの世界がぐっと身近になる。