「かわいい」という感情は自分との距離が絶妙に取れてこそ湧く。 だから「かわいくない」と思うのは不快なほど近いか遠いか。
この漫画は独特の造形をした有象無象のキャラクターが バカで、キチガイで、トンマで、マヌケな、 つまりバキトマな行動をするとっても愉快な四コマです。 ところが素直に「かわいい」とは言いにくい。
1コマの中で読者との距離が近づいたり離れたりして かわいいと思った途端、次のコマへ目を移す前にはすでにかわいくない。 しかしすぐに愛おしさが湧き始め、やけに妙にかわいい気もしてくる。
絶えず転倒するうち4コマのフォーマットが破損し、 距離感が完全に無くなって、感情は行き場を失なう。
どう考えても奇書。
漫画、というジャンルにはしっかりおさまっていて、読もうと思えば誰でも読めるとは思うんですよ。 ただ、その発想の具合がすごい。読んでいる我々のほうが本当はおかしいんじゃなかろうか、と不安になってしまうほど、かっちりあっちの世界はできあがってます。 おもしろいんだけど、あっちの世界には行きたくないなあ。 いずれ人気が出る、とは思えませんので、むりにおすすめはできません。
ここまで完成度の高い最狂マンガはまずないっすね。バキトマ道のようなぎこちなさもなく、スピード感ガンガンのイカレっぷりです。お勧めですよ。
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