歌:柴田恭兵、作詞:田中康夫、作曲:近田春夫。いまとなっては100パー考えられない組み合わせである。三者三様の汚点、消し去りたい過去かもしれない。
小説同様、歌詞に註釈が付いてる。レイニー・デイ、グルーミー、ハップハート、メディタレイニアン・バー、ファラ・ガール、アフェアー、アーバン・デイ、ステディ...もういいってか?小説でさえ過剰に思えた康夫ちゃんの世界観が2'46"に余すところなく投入されていて、大爆笑である。
小説が1981年1月、このイメージソングが4月、映画が5月だから、田中康夫はあっという間に時代の寵児になった訳だ。売れ始めたばかりの新人作家で、イメージソングを作るってだけで有頂天だっただろう。あと半年経ってたら、田中康夫が柴田恭兵の宝焼酎「純」のコマソンにGO出し、しているはずがない。
柴田恭兵は1979年のTBSドラマ「赤い嵐」で思いっきりメジャーになるとともに、思いっきりダサイ存在にもなっていた。“何やってんだい、しのぶちゃん”とミュージカルノリで能勢慶子に絡むアレである。柴田恭兵は、それはそれで味もありファンもついてた訳だが、「なんクリ」は柴田恭兵のイメージとオーバーラップする部分はほとんどなく、ファンにとっても???だったのではないか。
近田春夫はこの年、ぼんちで当てていた。とにかく何でもこなしておこう、という時期だったのではないか。全体としては当時の近田テイストの曲だし、後年CMで才能を発揮しているように、サビは非常に耳に残るものになっている。でも当然詞先だろうこの詞と、柴田恭兵のキャラ、歌手としての個性...手に負えるシロモノではない。
まあ20年後の柴田恭兵は予想ができたとしても、近田春夫がテクノ・トランスの人になってたり、ましてや康夫ちゃんが長野県知事になってるなんて本人すら予測もつかなかったはずだ。思えば遠くへ来たもんである。
まるで物語の世界にいるような1枚でした。中でも13番めの「スタニヤン・ストリート」はお勧めです。朗読と曲がとても自然に組み合わさっていました。詩が好きな方や、朗読を聞くことが好きな方は、きっと気に入ると思います。
東京都内、
古本屋の2階を間借りする30代前半の童話作家「加茂 忍」、
石立鉄男扮するこの主人公、童話作家だけでは食べれないの
でアパレルメーカーのサラリーマンをしている。
人生は忍(にん)の一字
ということで「忍(しのぶ)」と命名されたが、
けっこう短気で怒りっぽく、おっちょこちょいで、底抜けに人の良い、
この男、サラリーマンとしては冴えないが、なぜか同僚の大原麗子
扮する OLと婚約してたりして、それなりに人生をエンジョイしている。
そんな彼が、樹木希林扮する不思議な家出婆さんや、その孫娘の
渚(坪田直子)と出会って日常・人生が少しづつ変わり出す・・
コメディーやファンタジーな要素も十分あり、その面でも楽しめるが、
登場人物達が、夢と現実・愛と夢などの2者択一を迫られる切ない
シーンが随所に発生し、気まぐれながらも厳しさから逃げない彼等の
生き様から学ぶ点も多い。
いつの時代・どの世代でも楽しめる、珠玉のドラマだと思います。
石立鉄男の主演作品は家族との”しがらみ”をテーマにした ものが多
いように思うのですが、
「気まぐれ天使」では、見事に家族の”しがらみ”を持たない(ひとりっ子
で両親は亡くなっている)”加茂忍”が、底抜けの人の良さ故に、 周囲
の人々に振り回されドラマが生れていくというもので、 私の感性にぴっ
たり合いました。
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