あの忌まわしきクローン論争の火付け役、キングダムカムの1st。ハッキリ言います、コレは80年代後半に発表された数多のメジャーHM/HR系アルバム中でも5指に入る大名盤です。 正直言って、当時このバンドに浴びせられた非難は尋常ならざるものがあったと思う。ミュージシャンや評論家、雑誌編集者等、みんながみんなクソみそにコキおろしていた。ZEPがどれだけ偉大だったか知らないが、個人的には私が後追いで聴いたZEPのどのアルバムよりもこのアルバムは出来がいいと思うよ。それにしても当時の世間のこのバンドに対する扱いは酷かったね。横浜文体でのライブなんて半分も埋まってなかったもん。お陰でステージかぶりつきで観られたけど。口先だけで二言目には個性、個性などとぬかす無個性野朗どもにこの作品のよさは理解できないんだろうね。クローン、クローンってみんな右え倣えの態度を見るにつけ当時の私はこう思ったものです、”ざっけんな!!”。
内容の良さは言わずもがな。
独特な音作りではあったが劣悪だった音質が見事にクリアーに変身。
数少ない、リマスタリングの効果を実感できる盤。
すぐに廃盤になりそうだし買い直す価値はある。
前3作で Ballardは社会階層によって閉ざされた地域で現代人に潜んだ残虐性とその歪んだ精神病理を描き出しました。本作でも同様に倦怠に陥った人々が暴力に走っていく様子が描かれます。ただ今回の社会実験の場は不特定多数に開放されたされた超巨大ショッピングドーム Metro-Centre とその周辺の地域でありサンプルは100万人規模の住民です。
ロンドンの広告マン・リチャードの父はブルックランズのメトロセンターで精神障害者による銃乱射の犠牲者となります。リチャードは事件の周辺を探ってるうちにセンターにはまり込んでしまいます。メトロセンターが父を殺したとはどういうことなのかを追っていくうちに自らがセンターのプロパガンダに深く巻き込まれていくのです。で、ブルックランズ周辺で何が起きてるのかというとメトロセンターを中心とする消費者社会とスポーツサポーター(フーリガン)が合体したソフトファシズムなのです。Ballardは「何でも自由に購入できる消費者主義社会とは結局は多数意見に従わざるをえなくなる大衆政治の新しい形である」などとうそぶきながら人々が人種的な襲撃などの残虐性に目覚め偽・全体主義の空気に包まれていく様子を描いています。
他の作家なら破綻してしまいそうな極端な世界を整然と描ききる語りの技術は十分楽しめます。騒ぎを引き起こす人物達の動機面での曖昧さにもかかわらず確固たる狂気の世界を創造しています。ただmass politics を語るのにマスメディアへの言及がほとんど無いことや消費者主義を語るのにインターネット社会を完全に無視したりと背景・環境面でやや不十分な印象です。今回のBallardの社会実験はフィールドとサンプルが少し大き過ぎたようです。
名作名作とはきいていましたが、まさかこれほどとは。 読み終わったあと、なんだか明け方に見た夢が薄れていくようなあの感覚に陥りそうになって、慌てて二三回読み返しました。何回読んでもいいものはいいんです。 とにかくそれぞれのキャラクターが面白い。無駄に登場人物が多いわけではなく、「あの人がこんなところに…!」というのが随所随所に見られて、何だか面映いようなうれしいような。 全体を通して語られるのは、超越した者ゆえの孤独です。背中がうそ寒くなるような荒廃した世界で、人類は超人は一体何を行うべきなのか。 アレックス・ロスの珠玉のアートに彩られたストーリーの中でぜひその答えを見出してください。 ところで例のあの店に行ってみたいと思うのは私だけでしょうか。
|