80年代に刊行された元祖クトゥルフアンソロジーシリーズが遂に復刊。旧版はいかつい外箱とおどろおどろしい挿絵で構成されていたけど、復刊では外箱がなくなり、ついでに版も少し小さくなってスリムになった。
中学生レベルの訳しかできないのに、ただ度の行き過ぎたコレクターというだけでクトゥルフ神話第一人者にまつり上げられている大瀧某の訳出した作品より、遥かに読みやすくて良い感じ。ついでに文字も大きめで見やすいように感じられる。
ただ、復刊されるのはあくまで『神話作品』のみで、旧版にあったラヴクラフト論やエッセイは割愛される模様。まあ、別巻三冊の形でこれもいずれ出そうな気配だけど。
最後に、この本は旧版の復刊にあたるものなので、そちらを持ってる方は買う必要なし。まあ、誤植だらけの旧版よりもこちらをって方がいそうだけど(笑)
雑誌『EQ』の連載に、書き下ろし5篇を加えたもの。
洋の東西、さまざまな図像を紹介し、そのなかに隠れている意味や世界観を解説するという内容。とにかく図像が美しく、珍しい。バスカヴィル家の犬の正体は何かとか、クラゲが人の顔に見える例とか、ダビデの星を付けた武士とか。どれも、普通の人ではちょっと気付かないようなものである。しかも、細かい点をほじくり返しているようでありながら、ちゃんと歴史とか時代性とかの大きな話に帰着させている。
『EQ』の連載ということで、ミステリ関係の話題が多い。
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