Stingのソロ・アルバムの中で最もバック・ミュージシャンが魅力的。Jazzの若手実力派がずらっと並ぶ・・・ブランフォード・マルサリスとケニー・カークランドが最も光っている。で、どの曲もとってもいいとくれば、このアルバムが悪いわけはないですね。 ポリスの全アルバムをいれても一番ハイレベル。
さてこの本はどの範疇に属するのでしょうか?哲学本、ファイナンス本、それともジョーク本、案外”人生如何に生きるべきか”の本なのかもしれません。それほどの内容が詰め込まれている作品です。著者の筆致は、驚くべきほどドライです。と同時に、前作と同じように、いつもユーモアを忘れません。ところで、このユーモアはどこの風土のユーモアなのでしょうか?著者はレバノン出身のキリスト教徒だったのです。今回の作品には、著者の必ずしも笑い飛ばすことができない経歴が、本書のテーマとも関連付けられてユーモラスに語られています。そしてところどころ、著者の情熱のほとばしりがその姿を見せます。最後まで変わらないのは、驚くべきほどの"懐疑を失うことのない経験主義"です。この多面的なアプローチと経験の厳密な整理により、知識にまつわる様々な”常識の虚偽”が暴露されていきます。直接的には、Bell curve, Platonicityなどの現代ファイナンスの根底をなす基盤が論理的に崩されていきます。現代ファイナンスの根底にあるモデルは、数学的なお化粧を落としてみると、ただのvoodoo "science"だったというわけです。284ページの比較表は、トレーダーが机の前に張っておくためにまとめられたものかもしれません。しかし、この作品のインプリケーションは、ファイナンスなどという俗的な”世界の崩壊”だけにとどまるのではなく、読者の世界を見る目を変えてしまうものです。ここが、全作とは違う部分です。予測できないのがBlack swanだとすれば、人間の今のこの瞬間の存在もblack swan だということを認識するだけです。
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