1984年のライブ録音。ブリリアントレーベル。このソナタに宿った幻想味、たおやかさと神妙さではバクタンの上を行くかも(ヤバイ)。タッチの繊細さと丁寧さでも上を行くかも。ライブとは思えない程の落ち着きぶり。さすがギレリスという感じ。三楽章のアダージオも引き込まれる。最終楽章フーガではバクタンが勝ったかも。しかしトリルがよく鳴ってマス 途中一部崩壊。でもこれライブで聞いたら滅茶苦茶感動しそうです。流石。
テンペストの録音の素晴らしさは特筆に価します。まるで目の前でギレリスがピアノを弾いているようです。もちろん演奏も素晴らしく、ベートーベンが私たちに伝えたかったことを作曲家の代わりに伝えてくれているように感じます。
ギレリスは鋼鉄のタッチと言われますが、フォルテッシモがあるからピアニッシモが活きるのだと思います。けして硬くはありません。繊細で叙情的です。この演奏は崇高な気持ちにさせてくれます。
ギレリスは一枚聴くとすべて聴きたくなります。もしも、この一枚しかお持ちでないなら、『Beethoven Sonatas - Emil Gilels』をお勧めします。全32曲のうちの録音した29曲が入っています。他の演奏もこのテンペストと同じ録音なら買いなおそうかと考えています。なお、そのアルバムの内容は『Piano Sonatas / Variations』と同一のようです。
迅速に入手できて大いに役立った。 今後もよい品物を期待する。
私の大好きなピアニストのひとり、
エミール・ギレリスについての評伝です。
偉大な音楽家であった彼の評伝は、意外に少なくて、亡くなられてから
長く経ったような、そうでないような不思議な時間感覚のまま、
聴き手の多くが生きているせいもあって、
逆にあまり多くの紹介をされないで来た気がします。
他の方も挙げておられますが
彼の未完成のベートーヴェン・ソナタのチクルスや
ブラームス・グリークなど
未だ録音を聴けば素晴らしいピアニストであるのに、
彼の演奏が聴かれなくなってしまうのはもったいないので、
多くの人に読まれ聴き手が増えたらいいなあと思います。
私は、ギレリスの強靭な技術を、粗野な印象で受け取ったことはなく
単純に、ダイナミックな演目の出来が良くて、代表的とされているだけで
プロコやスクリャービンなどもいいだろうと思います。
もちろんショパンやシューマンも。でも、CDセールスの現場は
私たちにそのような演目での彼を引き合わせてくれなかったとも
思います。今後、そのような他の演目を弾く彼とも、再会する契機になったら
とっても嬉しいのですが。
全編賛辞(不当な賛辞ではないのです、たぶん)なので
ほかの評伝とも合わせてご覧になると、面白いのかもしれません。
ギレリス自身が寡黙で優しい、自分をひけらかさない
方だったので、意外と一般のファンは知らない事が
多いので、面白く読めます
今このアルバムを聴きながら書いています。初めて自分のお金で買ったベートーヴェンのピアノ・ソナタです。
モーツァルトもベートーヴェンも天才ですが、印象は随分違いますよね。モーツァルトは何も考えずに、頭に浮かんでくるメロディを書き留めれば、はい一曲出来上がり。その後で妹に小学生みたいな無邪気な手紙を書く。一方のベートーヴェンは眉間に皺を寄せながら考えに考え抜いて曲を完成させる。そういうイメージがあります。でも、それは何となく皆が決めてしまったことで、本当は違うと思います。現実の人間は単純じゃありません。
ギレリスは旧ソ連の鋼のイメージ? それも、そう思って聴くとそう聴こえてくるから不思議です。曲も演奏も抒情的ですが、甘さを表に出さない高貴な和菓子のようです。ギレリスは妥協を許さず徹底して譜面を読んで考えたのではないでしょうか。感情よりも理性を優先させる人。そう思います。
このアルバムを聴いていると、ベートーヴェンは男性ピアニストにしか弾けないんじゃないかと思います。女子供を寄せ付けない世界。そういうのもあって良いと思います。大衆に受けることを拒み、自分の芸術を追及すること。そこに男のロマンがあると思います。
なお、ギレリスのベートーヴェンのソナタを揃えるのであれば、『Beethoven Sonatas』がお買い得です。もしも、一枚もCDを持っていなければそっちにしたと思います。また、ギレリスのピアノは『ロシアン・レジェンド(100枚組)』に16枚入っています。姉妹サイトの A...fr や A...de で安く買えます。ASINで検索すれば出てきます。なお、ベートーヴェンのソナタ集のほうは今現在 A...co.uk が安いです。VATを引いて30GBPを切ってます。
|