独自路線を貫いたブルースマン豊田勇造の出発点、ファースト・アルバム。
URCの他の音源がCD化で復刻されたときにもなかなか復刻が実現しなかったものが、2003年に復刻されURCファンを大いに喜ばせたとともに、一部収録されなかったことに残念な思いも与えた。その後CDは品切れ状態となり、ながらく入手困難だったが、ボックスの形で再発されたことは嬉しいこと。日本のフォーク・ムーブメントのルーツのひとつである関西フォークにたどり着く手がかりだ。収録曲は前回のCDと同じで、岡林信康の全曲と中川五郎の1曲が未収録のまま。特にLP6枚全85曲中、岡林信康の歌が13曲であり、当時のフォーク・ムーブメントにおいて岡林信康の占める位置がいかに大きかったかを実感できないのは残念。あらかじめ、そのあたりを分かったうえで聴いていただけるといいかと思う。なお、未収録の岡林信康の歌は、岡林信康『わたしを断罪せよ』『見る前に跳べ』『狂い咲き』でその多くを聴くことができる。
再び品切れ状態のようで残念。五つの赤い風船の解散記念実況盤『ゲームは終わり』ともども、再発をお願いしたい。
今まさに「関西フォーク」の原点を見た気がする貴重な1枚に違いない! CD化は絶望的だと思っていたのが、こうやってCD化され、今改めて聴きかえして見ると、鮮明に当時の青春時代が甦る。単なるノスタルジーに浸るようなそんな生ぬるいものではなく、今聴いても新鮮に聴こえるのは私だけだろうか? 現代の訳の分からないミュージックシーンとは異質の世界がここにある。若い世代の人にこそ聴いて貰いたい。詞がナンセンスと言うなかれ! メロディーが単調と言うなかれ! 音質が悪いと言うなかれ! それを超越した歴史の原点を見つけられるはず! 今後二度と入手出来なくなるであろう貴重なCDなのは言うまでもなく、私の一生の宝物になるであろう珠玉の1枚だ。
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