大学時代、いっぱしのバックパッカ―をきどっていた私は、アジア方面への旅行を繰り返していた。そのとき、バックパックに入っていたのは、この本である。同じく、この本に影響を受けた者たちと、バンコクの安宿で、上海の屋台で、カルカッタの路地でこの本について語り合った。沢木が旅していた頃との風景の違いに戸惑いながら・・・ そう、彼がその地を旅して20年後のことであった。 今では、背広を着て、休みもろくに取れない身。 だから一層、あの頃の思い出がこの本とだぶって見える。 きっと息子にも読ませるであろう、「お父さんもこんなに輝いていた時があったんだよ」って。
読み終えて、ただただ圧倒され、出版社宛てに、初めてファンレターのようなものを書きました。「ようなもの」というのは、まだファンになったのかどうか自分でも定かでなく、ただ闇雲に何かこの作者に向けて発信せざるをえないという感情だけだったから。 漫画家でいうと、つげ義春作品の読後感、あるいは林真理子氏の「ルンルンを買っておうちに帰ろう」以来の新鮮な衝撃を受けました。 勝ち組、負け組と選別したがる風潮が蔓延する社会の中で、他の作品からも窺える、これほどまで藤澤清造を軸とした生き方にはキングオブオタクという賛辞を送る他ありません。 また独特の文章に今時の草食系とは対極の非常なる男性性(あまりにも男性性が強すぎて自分でももてあましてる)と諧謔味を帯びた芸術性を感じます。 私小説を書き飽いたら、海外へ旅などして今までに無い旅行記を書いていただきたい。
A列車の建物キットで、欲しかった世界が広がりました。
僕が子供の頃はまだテレビ放送がありませんで、ラジオでは数少ない民放の夜番組で”トリス・ジャズゲーム” という番組が放送されていました。司会がロイ・ジェームス(日本生まれの外人タレントのはしりの人)で、公開生放送として各地のホールから日本のジャズメンによる演奏が放送されました。それらの演奏は、司会が聴衆からリクエストを受けて出演バンドがそれを演奏する、というふうな、ユニークなものでした。千葉の片田舎に住んでいた僕は子供心にも初めて聴くジャズ演奏に新鮮な驚きを覚えたものです。ピアノ中村八大!(”上を向いて歩こう”の作曲者)、テナー松本英彦!、ドラムジョージ川口!、ベース小野次郎!これら黄金のカルテット(四重奏)による”テイク・ジ・エイ・トレイン”が僕のジャズとの邂逅でした。若くして夭折したトランペットの天才クリフォード・ブラウンは作曲もこなし、幾つかの名曲をこの世に残し、あっというまに天国へ走り去りました。また、これらの演奏は後にブームとなったいわゆるファンキー・ジャズの原型になるものだと思います。どうぞこれらの名曲、名演奏を是非お聴きになってください。
今までにないほどの、おもしろさとリアル感 自分の思うとおりの街が作れる!
|