モーツァルト弾きとして根強い人気を誇るワルター・クリーンの協奏曲録音を集成したセット。 それぞれ魅力的だが、第24番のしみじみとした味は格別。棒は名人ペーター・マークとくれば ファンにはこたえられない。グリュミオーとのヴァイオリン・ソナタ(フィリップス)と並び、 モーツァルト愛好家必携の一組。
クリーンのモーツァルトは定評のあるところで、全集を完成しています。2枚組×2セットで計4枚。この際、全集で買ってしまいましょう。安価です。軽妙でチャーミング。思いを音楽に溜め込みすぎることなく、しかし奏者の心のなかには、モーツァルトへの愛情が溢れているのが、よく伝わってきます。VOXの録音は乾いた硬い音色のものが多く、このモーツァルトもその例にもれないのですが、変な残響を付けて華美な印象を持たせるよりも、タッチの粒のひとつひとつが明晰に聴こえるこの禁欲的な録音のほうが、私には好ましく思われます。
10時間3000円のモーツァルトもありますが、ウィーンフィルのような
演奏者が演奏していることを考えると、こちらの方が質的には圧倒的に上だと思います。
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