車椅子の天才科学者の本は今でも色あせない。量子力学と相対論の統一を通して、科学が避けて通ってきた「なぜ宇宙が生まれ、現代のような形になったのか」という問いに真っ向から挑む実証主義の代表、ホーキングの偉大さは読むたびに感動する。思えば複雑な宇宙物理学をこれほど一般に分かりやすく説明した人物は当時ではホーキングくらいなものだった。たしかに本書はいくら一般向けとはいえ難しい。訳出も今から見ると古めかしいし、高次元や本書の要の一つである無境界条件と不確定性原理は図で説明しづらく、ホーキングも説明に相当苦労しているようだ。ホーキングは本の中で頻繁に「神」という言葉を使う。彼自身は無神論者だが、神の不要論を唱えながら、あえて物理学が提示する無神論を読者に強要しない。この辺に彼の寛容さをうかがうことが出来る。今では宇宙物理学も進歩して、本書にもいくつか修正が必要になった。それだけ科学は日進月歩で絶えず書き換えられている証だ。 今では「エレガントな宇宙」など多くの優れた本がある。しかし本書がなかったら「エレガントな宇宙」も生まれなかったかもしれない。 ホーキングが火付け役になって相対論や量子力学が身近になった。一方で単純な誤解で現代物理を一蹴する人もいる。「ホーキング宇宙論の大ウソ」などという勘違い本が出たのも今では懐かしい思い出である。
ここまでバリアフリーということを掘り下げた本があっただろうか? 著者のホーキング青山は、自らが障害者でありながら、その自らが置かれた状況を客観視して、鋭く世の中を斬っている。 また、彼のお笑い芸人という独特の立場から見た世界も同時に垣間見え、実に興味深い。 これまでの彼の著作は、毒はありながらもどこか「自分は作家ではない」という遠慮のようなものが見られていたが、今回は一つひとつのテーマを深く掘り下げながら丁寧に綴っているのが良く分かる。 著者が「ホーキング青山全著作中、最高傑作!」と言い切るのも頷ける作品。
思うにこの人は、乙武さんとは違う意味で障害者のスーパースターなんだと思います。 だからナンパしても成功するし、エッチも結構できてしまうんですよ。 前のレビュアーの方が、語り口が下品だの乙武さんと比較するのが卑しいだのと書いておられますが、 私は全くそんな感じは覚えませんでした。 小早川さんの言葉を借りれば「もてやがってこの野郎!」ですね。 健常だろうと身障だろうと、やっぱり面白い男の人ってのはもてるんですよ。 お笑い芸人なんて、ほんと、女の人に最ももてる職業のひとつじゃありませんか。 そういう人が「性欲に身障も健常もなし」なんて言ったって、 「はいはい、そうですよね。あなたにはね、おもてになって結構なこと」という感じですかね。 もちろん力づけられて、「よーし、ここに紹介されている風俗に行ってみるか!」と元気になられる方がいるだろうということは大変すばらしいことであり、それだけで本当は☆4つの価値はあるのです。 ただ、女はどうなんですかね。 作者の言われる『同級生の女の子はみんなヨダレを滴らして「うぇ〜、うぇ〜」なんて言ってんだから、どう考えたって恋愛対象なんか』とか『こういうこと言うと決まって、「テメェなんて、だれも呼んでねーよー」なんていうババァなんかが』とかのくだりに、なんとも不愉快なもんを感じたんで、熟考した上で☆3つにしました。 女の人って、体の構造上、気持ちの悪い男の人とでもセックスできますが、 男の人は、無理なんですよね、たぶん。そのへんがどうも、やるせないですね。 男の人も女の人も、別に性的に満たされなくても我慢できる人は我慢できるとは思いますが、そうでないひともいるんでしょう。 養護学校で生徒の性処理をしてあげる若い男の先生の話には感動しました。 実在するんですね。そんな聖人のような人。 しかし、それで感動した人が安易に「あたしもやってあげる」なんて言ったら、ホーキングさんに「テメェなんて、だれも呼んでねーよー」と言われてしまうのでしょうが。
差別的な表現をしても、言った当人が障害者だと批判する口実がなくなってしまう。差法が整備された後で生きてきた我々は、そこに違和感を感じても乗り越える術を知らず、おそらく後から取り戻す方が難しい。それを取り戻そうとして行われているボランティア推進政策の歪みが如実に見えてくる。ますます彼らと我々の差は広まるばかり。 ボランティアってなんだか嘘くさいと思う人、必読。
1巻、2巻と読んできて、待っていた3巻です。 とても、とても満足でした!!!
もっと続きが読みたいです。 ホーキング博士がこの先に何を考え、何を期待しているか、知りたくてたまりません。
この本は、単に宇宙物理学の情報だけでなく、また、物語だけでなく、宇宙研究がわたしたちの生活の何とつながっているのかを、示してくれます。もちろん、むずかしくて、調べながら読み解いた箇所もあります。でも、調べる作業も、なかなかおもしろいものです。小学生のいとこたちと一緒に、本屋さんに何度も通ったり、ネットで検索したり、ホーキング博士と同じことを調べているのだと思うだけで、わくわくしました。
私たちが呼吸して生きていることが、宇宙空間での奇跡と思うと、科学研究と人間の可能性に、さらに期待が高まります。きっとこのテーマは、この先も古くはならないでしょう。とてもよいシリーズでした。
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