塩野七生(に会ったことがあるわけでないから私の勝手な想像なのだけど)のように、じたばたせず、かといって「オバサン」化することもなく、素敵に歳を重ねながら生きていきたいな〜っという私のバイブル。
時代とか国とかを超えた本質的な意味での「人間」について考えさせられる、時折手にしては読み返している一冊。
男の人へ向けたメッセージかもしれないけれど、女である自分にもたぶんに学ぶことが溢れている。
スティリコ亡き後を襲い、族長アラリック率いるゴート族がローマを劫掠。
西ローマ帝国は幼少のころから永年、帝位に就いていたホノリウスが死に、
その異母妹ガッラ・プラチディアが実権を握ります。そして、その下で、
軍司令官としてアエティウスが蛮族との戦いに向います。
しかし、蛮族からも蛮族として恐れられるフン族が強力なリーダーシップを
もつアッティラに率いられ、帝国内に侵攻。さらに、皇帝がアエティウスを
謀反の疑いで殺した直後には、ゲンセリック率いるヴァンダル族によって、
紀元455年、ローマは再び劫掠されることになります。
その後の西ローマ帝国の最後の20年は9人もの皇帝が入れ替わります。
最後の皇帝はロムルス・アウグストゥス。建国の王と帝国の祖の名をもつのは
皮肉ではありますが、この皇帝がオドアケルに退位させられる、ということ
をもって西ローマ帝国は滅亡します。
「炎上もなければ阿鼻叫喚もなく、ゆえに誰一人、それに気づいた人もいない
うちに消え失せた」とは塩野氏の弁。紀元476年は分かっていても、月も
日も分からない、最後の「偉大なる瞬間」(カルタゴ滅亡時にスキピオが言った
言葉)もない、あっけない終わり方でした。
そして、その描き方もあえて筆致を抑える塩野氏ならではの静かなものでした。
ローマ、最高に面白かったです。実は最初の数話はそこまではまれなかったのですが、見始めたらとまらなくなりました。どんどん古代ローマの世界に引き込まれていって。。。アティアのキャラがものすごく印象的でした。 衣装、設定、町の様子、食事、家具、町の人達。。。とにかく全てにものすごく現実味があって、楽しめました。 さすがHBO、スケールがでかい! ただ、シーズン2で終わってしまったのが残念。このスケールのでかさを大衆は受け入れなかったようで。。。レーティングがもっと高ければ続きもあっただろうに。
塩野七生さんの『わが友マキアヴェッリ』で興味を持ち、読んだ。
『チェーザレ・ボルジアあるいは優雅なる冷酷』や『ローマ人の物語』を読んでいると、マキアヴェッリのあげている歴史的事例がわかりやすい。
というより、これを読んで思ったのは、塩野七生さんの数々の歴史著作の原点はここにあったのだなあということ。
良識的なタテマエに対して、マキアヴェッリの論は、逆説でありホンネである。
文章にリズムがある。冷静で皮肉めいていると思えば、情熱がほとばしる。その言葉の新鮮さは、500年たっても失われていないと思った。
講談社学術文庫の佐々木毅訳とつづけて2回読んだ。
原典の違いがあるかもしれないが、ところどころ訳し方が違っている。両方読むとよりわかりやすい。
本書では、訳注と解説は最後にまとめてあり、人名索引と重要語句索引と2種類の索引がついている。
この重要語句索引というのがおもしろく、例えば「傭兵」とひくと、「ーーは当てにならない123 ーーは給料目当て73 ーーは仲間うちでは勇猛だが、敵中では臆病である73‥‥」などとある。マキアヴェッリの言葉を引用したい時に役立ちそうだ。
ボルジア家に関する書物を初めて読む際、塩野女史の作を読むか、それ以外を読むかで、 大きく彼らに対する印象が異なってくるのではないでしょうか。 「悪徳と陰謀の一族」「毒を盛る男」「兄妹の近親相姦」「肉欲的な法王」などなど、 悪名をあげつらえばキリの無い彼らの中で、最も悪名高いとされる「ルネサンスのメフィス トフェレス」チェーザレ・ボルジアを、塩野女史は行動の天才として、あたかもルネサンス 最高の英雄のように描き出しています。 マキアベリズムの体現者というのはまさにその通りで、マキアベリが彼を理想の君主として、 あの「君主論」を書いたというのは実話です。 ちょっと持ち上げすぎだよなぁと思うところが無くはないのですが、それにしても他の 書のあからさまな「悪物」チェーザレに比べれば可愛い物でしょう。 塩野女史独特の文章については他の方も言及されていますが、やはりこの頃は、歴史的 描写と小説的描写の切り替えが唐突過ぎる気もします。まあ、今の方が少し読みやすい くらいの違いだと思うのですが…。 三章に分けて描かれる、彼の(ボルジア家の)躍進期、全盛期、衰退期。感情移入し すぎると、三章でボロ泣きする破目になります。 各国の関係についても、多少の脚色を加えつつ、分かりやすく書かれているので、ルネ サンス期の歴史入門にもオススメできますよ。 いろいろ書いてみましたが、やはりこの本、星五つです。 劇画にしたら売れそうな生涯を送ったチェーザレの一生を、悪口一切ナシで、良質な 映画のように描いた本作、一読の価値はあります。
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