一人の少年の父親殺人疑惑事件の陪審員として呼びだされた年齢も、生まれも育ちも、思想も暮らしもまちまちな12人の市民が繰り広げる密室内の討論劇である。
状況証拠から予断に囚われ、はじめはヘンリー・フォンダ一人を除いて全員が有罪を確信していたのだが、疑問を懐いたこの建築家がひとつひとつの問題点を解明していくそのプロセスが、スリルとサスペンスを呼ぶ。
有罪説と無罪説の論理的な戦いというよりも、猛暑にいらだち、野球や私事にかまけて早く評決して帰宅したい多くの普通の市民たちと人間の生死に誠実な判断を示そうとする一人の男の良心のせめぎあいが、この映画の主題である。
最後まで反対し続けるリー・J・コップの孤独な心情がまことに哀れであるが、一二名の無名の市民の良識に一人の人間の命運を託す合衆国の法的制度の素晴らしさと恐ろしさを、二つながらに体感する映画でもある。
朝っぱらからオオミズアオの幼虫を4匹も殺してしまって気色悪し 蝶人
わたしがテレビ録画したVHSを暗記するくらい見返したのがこの吹き替えバージョンです ヘンリーフォンダが死去したときの追悼放送でした DVDで再見できるのはうれしい
内容に関しては満点ですね
シドニー・ルメット監督の最高傑作は「狼たちの午後」こりゃすごいです つづいてこの作品と「オリエント急行殺人事件」が並んで第二位(どちらもご覧になった方は、この並べ方で「にやり」とされるはず) 第3グループには「セルピコ」や「フェイルセイフ・未知への飛行」などタイトな傑作をあげておきたいです
DVD化されていない(VHSソフトはあった?)「プリンス・オブ・ザシティ」のリリースを熱烈に希望します
陪審員制度のもと繰り広げられる法廷劇の傑作です。人の先入観がいかに危険でいい加減なものかがよくわかります。
私事で恐縮ですが、2006年1月21日に大阪のシアター・ドラマシティで、三谷幸喜の最新作「十二人の優しい日本人」を観て来ました。
数多い三谷作品の中でも屈指の傑作だけあって、場内は終始、爆笑の渦、隣で、時にお腹をかかえて笑っている妻の横顔を眺めながら、凄ぶる楽しい舞台と感じながらも、他の観客と、明らかにテンションが違う自分がいました。
何故って?それは、自分は、14年前に、既に同名のこの映画を観てしまっていたからなのですね(笑)。
当時、まだこの日本では議論にも挙がっていなかった陪審員制をモチーフに、日本人の縮図ともいえる12人の"小市民"たちが織りなす、二転三転どころか、五転六転する議論の途方もない逸脱ぶりと、すっ呆けた会話の数々に漂う底知れぬ可笑しさ、それでいて、果たして被告は有罪か無罪か、という法廷劇としてのサスペンスなルーティンもしっかり押さえてあり、存分に映画を楽しんだ後で、三谷幸喜、恐るべしと感じたものです。
今回、舞台を観ながら驚きだったのは、この映画版と、舞台の戯曲のセリフが、ほぼ100%近く一緒だった事。「ラヂオの時間」でも「笑いの大学」でも、過去の傑作舞台を映画化したものが、それなりに映画的に脚色されていた事から考えると、これは意外でした。シチュエーションが一幕物の舞台劇の様な審議室内での話という事もあるのでしょうが、それだけ、三谷が、この"本"に自信を持っているからなのでしょう。
最新舞台での生瀬勝久も好演でしたが、やっぱり、ヘンリー・フォンダにはなれなかった男(笑)、陪審員2号を演じた相島一之(東京サンシャインボーイズのメンバーであり、オリジナルの舞台にも同役柄を演じた)の、時にマゾヒステックなまでの駄々っ子振りは、必見です。
裁判員制度が日本で始まりましたが、この映画を見て学びましょう!勉強になりますよ!さすがシドニー・ルメットですね!隙のない完璧な名作デスよ!
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