日本好きの著者ですから、これまでも日本語についても何度か触れていますが、本書は日本語について書かれたものばかりで構成されています。 とはいえ、純粋に日本語以外の分野にも脱線しているものも多いのですが…。逆に言うと、ことばと歴史や周辺情勢の影響は切り離せない、ということでしょうか。 これについては、本書の結論ともいえる部分を紹介しておきましょう。 「故事、格言、諺、喩えの解釈はとても面白いが、充分な情報ストックと想像力がないと裏側に潜む風景は視えてこない。定説を鵜呑みにせず、常に独自的先行による自分流解釈を優先させる。正しい答えは日々変わっていくし、時代によっても人によっても解釈は変わるから、これを固定化することは進歩を止めてしまう。」 縦横に漂拠を操る明石節はことでも健在です。
今まで頭の中では理解していたつもりの竜安寺石庭。鳥玄坊先生のあらゆるフィルターを通しての洞察力に、竜安寺石庭に対する全ての固定観念は捨て去られた。最初の結論で十分納得してしまった私であったが、その先にはさらに驚愕の結末が。今まで名だたる庭園研究家がしてきた推理を一変させてしまうとても興味深い一冊。
|