園田高弘校訂の楽譜です。 ただし、速度指定、強弱、スラーなど園田氏が解釈した部分は薄線で書かれており、原典版の記載とはっきり区別されているので、原典版と解釈版の良いところを兼ね備えた楽譜です。 どの原典を採用しているかについては、記載がありません。 (おそらくヘンレ版ではないかと思います)
解説・分析は『バッハ インヴェンション 分析と演奏の手引き』に比べると少ないですが、『手引き』が解釈版の楽譜を用いているのに対し、園田版は原典版を用いているのが長所です。
このインヴェンション編と、シンフォニア編 が別冊なのは不便です。
トリルやモルデントのつけ方が基本に忠実。
他のピアニストの様に、独自のトリルを入れていないから、手本にしやすい。
特に、春秋社の楽譜を使って練習している人は良い参考になる。
作品として聴く場合は面白みにかけるので、純粋に演奏を楽しみたい人には向かないかも。
満足です。
朝比奈隆さんのブラームスの世界をたっぷりと堪能させて頂きました。
中でも藤川真弓さんとのヴァイオリン協奏曲は圧巻です。
ライブでここまで弾けるヴァイオリニストが世界に何人いるのかと
思わせるだけの圧倒的な演奏でした。正に感涙ものです。
90年のわりには映像が少し荒いのが残念ですが、演奏の素晴らしさを
損なうようなものではありません。まさに気骨のある演奏です。
2000年にピアニスト園田高弘によって校訂された楽譜です。 過去の様々な楽譜を比較検討考察しているため、楽譜の信頼性は高いと思います。 解釈・実用版としては最良の楽譜といえるでしょう。
いいと思った点 ・ペダルの踏み方が非常に詳しく書かれている 現代ピアノの特性(ハーフペダルによる響きの変化など)が考慮されているので、 自分でペダル操作をする際かなり参考になります。
・運指が手の大きくない日本人向け 海外の楽譜だと、明らかに手が大きくないと弾けないような運指をよく見ます。 その点、この楽譜は校訂者が日本人だけあって無理がありません。
・装飾音の正しい処理の仕方が載っている。 ・フレージングの指示やアーティキレーション等の補完 適切なフレージングの指示など、特に独学の場合参考になる部分が多いです。
気になる点 ・アーティキレーションなどの指示が、作曲者によるものなのか校訂者の解釈なのか区別できない。 演奏記号などの補完は、演奏の際大変参考になりますが、 奏者の自由な表現を縛ることにも繋がります。 ・11小節目の反復記号がない。 ただし、これに関しては、後ろの解説に「反復記号を入れるベき派」 「入れるべきでない派」双方の考えが比較できるようにしっかり載っています。 解説を見たうえで、弾く人が自分の好きな方を採用すればいいと思います。
戦後の高度成長発展の音楽版みたいで楽しかった。
ばりばり「弾ける」という自信と欧米に果敢に挑戦する気概が虚飾なく初々しいまでに表出されており、とても新鮮。師事した先生や、往時の大音楽家も容赦なく批判するあたりは、まさに生意気としかいいようがないが、これが青春の気概というものだろう。
反面、不慣れな海外での苦労や屈辱なども正直に描かれている。ベルリンの日本人音楽家を牛耳っていた女性や、彼女に紹介されたマネジャーにあれこれ指示され、カラヤンなどの実力者の楽屋に押しかけるなどなど「業界」デビューまでの現実も赤裸々で面白い。また、駐仏大使夫人や大使館員など、地位を笠に着てクラシック音楽を社交や権威のための使い捨てにする人びとの実像も遠慮容赦なく描き出していている。
日経新聞の「私の履歴書」に加筆したもの。これに、欧州デビュー直前の57年の日記が後半に織り込まれている。分量が不足だったのかとってつけたようだが、この日記がとても面白い。
この日記は60年に刊行された。この内容で公刊されたこと自体ちょっと驚きだ。日記でこきおろしたベームやカラヤン、シェルヘェンなどの大指揮者に気が引けたらしく、その時の「あとがき」で『出来、不出来、適、不適は大音楽家にも常にある』などと言い訳している。
それほどこの日記は赤裸々で青春の気概にあふれている。
|