ジョアン・ジルベルトの二枚のアルバム、AmorosoとBrasilが2in1となった、お得なアルバム。 Amorosoはクラウス・オガーマンがアレンジを担当。ジョビンのThe composer of Disafinado, playやWaveが好きな方には親しみやすく、ボサノヴァ・ファン向け。一方Brasilはカイエターノ・ヴェローゾ、ジルベルト・ジル、マリア・ベターニアのMPBのミュージシャンが参加、MPB色が濃い内容であり、このあたりでボサノヴァ・ファンの好き嫌いが出るかも知れない。
Amorosoはオガーマンの美しいアレンジが特徴。私個人はオガーマンは大好きなので、ジョアンのボーカル・ギターと併せて楽しめて、とても好きなアルバムなのだが、ジョアン自身は気に入らなかったらしい(ボサノヴァの歴史外伝 パジャマを着た神様…1990年のJoao制作時にもオガーマンはアレンジの候補だったが、ジョアンはクレア・フィッシャーにした)。ジョアンとしては、ギターとボーカルで作られる繊細な和音にはオガーマンのアレンジは主張し過ぎだったのかも知れない。確かに、そういう聴き方をすると、オガーマンのアレンジは少し厚いのかな、とも思う。ただ、その点をさしひいても美しいことには変わりがないが。
ジョアンはあまり気に入らなくても、オガーマンの華麗で軽やかなアレンジとジョアンの双方が楽しめる良いアルバムだと思う。選曲もジョビンのWaveあり、ジョアン好みの古いサンバあり、米スタンダード、ラテンとバラエティに富んでいて楽しめて、しかもジョアン流に統一されているのはさすがだと思う。
2006年11月の再々来日公演の際に
DVDの予約を受け付けていましたが結局お流れ
ジョアンの日本公演を元にした作品は
初来日時の本作のみとなってしまいました。
イパネマの娘等有名曲が多数カットされているのがもったいないですが、
ウンブリアやモントルーの作品を購入すれば
ほぼ同じアレンジで補填できます。
元々公にするつもりがなかった録音とのことですが
音は非常に良いですよ。
本作の弾き語りWAVEは非常に秀逸です。
単調といえば単調ともいえるかもしれませんが
しっかり向き合って聞くとさらにその深さが感じ取れますし
仕事をしながらや友人とのおしゃべりのBGMとしても
耳触りのよい優れた音楽です。
「・・・あれっ・・・」という冒頭のしばしの無音部分からやがて、そよ風のようなギターの音色が流れてきます。あとは引き潮のように、驚くほど自然にボサ・ノヴァの世界へと導かれて・・・。ナラ・レオン、カルロス・リラ、アントニオ・カルロス・ジョビン、ジョアン・ジルベルト・・・・・。これまで何かの機会に一度は聞いたことのある名前と共に素敵な音楽が絶え間なく流れ、往年のミュージシャンたちが当時の思い出を語り、それを裏付けるかのような懐かしい映像がその隙間を埋めていく・・・。あっという間の数時間。まるで日常の表通りからふとしたきっかけで瀟洒な邸宅のパティオに招かれたような時間でした。
少し芝居がかったナレーションとともにヴィニシウスの物語が始まる。 彼の生い立ち、有能な外交官としての日々、そしてそれに並行して繰り広げられる女たちへの愛とボサノウァの日々。 煌めくように鮮烈なメロディに降り注ぐ言葉たち、ポルトガル語の微妙なニュアンスまでは理解できないにしても、その集合体が創りだす瑞々しく洗練された世界が普遍性を帯び、映像とともに心を揺らす。
モライス一族や、ゆかりの音楽関係者たちが彼のエピソードを綴る。 美しい女たちがヴィニシウスの人生を更新し、彩り、あらたな音楽を、詩を誕生させていった様子が回顧される。 ドキュメンタリー映画としてとりたてて目新しいものではないが、そこに登場する多彩な人々によって語られる物語、奏でられる音楽に陶然となる。
何事にも執着することなくひたすらに愛だけを求め続け、他者を高揚させるために費やされた人生、自己犠牲ではない他者への圧倒的な愛は彼が紡ぎだした言葉たちの中に生き生きと宿り続けている。
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