答えはウォール・オブ・サウンド。ボスの場合は近年とみにその傾向が強いが、ウォール・オブ・サウンドの影響を受けたミュージシャンはその他にも、ビーチ・ボーイズ、大瀧詠一、ジョン・レノン、ジョージ・ハリスン等数知れない。大瀧詠一のA LONG VACATIONが代表例だが、ベースラインとビートの上に、ギター、キーボード、ストリングス、コーラス等を何層も重ね、適宜エコー処理を施して造りだされる厚い壁のような音響構造のことだ。
そのウォール・オブ・サウンドの父がプロデューサーのフィル・スペクター。本作は、最後の曲を除いて、彼のレーベルであるフィレスからリリースされたシングル曲をミュージシャン横断的に集めて、ウォール・オブ・サウンドを見直そうという好企画。オリジナル・マスター・テープからの最新リマスター音源を使用しているとのこと。
最近達郎等の音楽のファンになった若い人には、是非その原点のウォール・オブ・サウンドは押さえてほしいと思う。約50年前の曲ばかりだが、M3、4、10等はエヴァー・グリーンの瑞々しさを湛えている。
資料も充実しており、フィルは「ワグナーの音楽の持つ広大さをロックに取り入れ、ティーンエイジャーの為のシンフォニーを作るつもりだ」ったとのこと。M3を聴いたビーチ・ボーイズのブライアン・ウィルソンがショックで自信をなくし、恋人になぐさめられて作ったいわば返歌が名曲「ドント・ウォーリー・ベイビー」であること等のエピソードや61−66年の音の変遷の分析も詳しい。
その彼は今は囚人。フィルは、ロックン・ロールのカラヴァッジオ的天才だ。
新品を購入。海外からの購入と言うこともあったためか、 ケースに2ヶ所、若干の割れ目があったのが残念です。 でも、CDにはその影響は無かったです。
60年代のアメリカン・ポップスに興味のある方、またはビーチボーイズ、ビートルズ(特に両者とも初期の時代のもの)に興味のある方は是非 聞いてみて下さい。それこそ「目からウロコ」ものですよ。
自分の手元に届いたのはUS盤でした。(11月16日の発送です)手元にはこれしかないのでEU盤との作りの違いはわかりません。ボックスを出すんだったらシングルのみの曲等も収録してフィレス完全版としてリリースしてほしかったです。
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