臨場感に溢れ、迫力ある展開になっています。乗船した労働者が次第に団結して行くプロセスも良く表現されています。しかし、せっかく盛り上がっていたのに、ラストは単なる語りで終了してしまうのが非常に残念です。しかも、その後、出演者の冗長なトークを聞かされると、その貴重な時間を、どうして本編収録に回さなかったのかと疑問が湧きました。
儲かっている企業が労働者を搾取する、ここに労組の原点あり。そう理解させてくれる一冊です。
まあ現代は、御用組合ってのもありますがね。(^_^;)
第八トラック「くるわくわだち」って「くるめくわだち」ですね。こういうtypoがブラック労働全盛な現状を物語っています。かなりの音源が「がんばろう」とかぶっていて(というか、音楽センターがキングに供給した)、かぶっていない分は本家だけあって「濃い」のが並んでいますね。例えば、いまさら国際学連でもないのですが、そういう時代があったということで。むしろ福島の原発事故→反原発→反核って流れで聞いてもいいかも。
さて、「蟹工船」の作者である小林多喜二の人生を多喜二の作品およびその他の資料を絡めて綿密な文献考証の基に書かれた本です。新書ですからある程度の制約はあるものの、充分に小林多喜二の魅力に迫った内容になっています。生い立ちから、小樽時代から拓銀行員、東京に出て没するところまで書かれています。非常に読みやすい内容で新たな小林多喜二像を与えてくれます。昨今、「蟹工船」ブームになり小林多喜二の時代と今の時代とが酷似しているのを考えれば小林多喜二が今後読み継がれていくのは当たりまえのことでしょう。それに小林多喜二の文章が印象より非常に読みやすく書かれているのも知ることが出来ます。著者によって検閲で伏せ字になったところにもちゃんと文字が当たれています。多喜二を考える上での良質な本だと思います。
劇場で見て(再演の方でしたが)、もう一度ゆっくり見直してみたいと思い、購入しました。 DVDで見ても十分感動できます。
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