4コママンガであるが、連続したストーリーとして構成されている。薄幸の主婦森田幸江と乱暴でだらしない亭主のイサオをめぐるエピソードからなる。このマンガは、さまざまなメディアで高く評価されている。たとえば、永井均「マンガは哲学する」講談社などで、絶賛されている。こう書くと、なにか、説教くさいまんがのように思えるが、個々のエピソードは十分笑えて、楽しめる。ギャグのセンスも良いし、作法もしっかりしている。主人公2人以外の脇役も十分にキャラがたっている。個々の4コマは、どう考えてもギャグマンガであるのだが、それらをつなげて読んでい見ると、幸江の生き方や人生に対する考え方に涙してしまうのである。このような重層的な構成ができるところに業田のすごさがあるのだろう。
愛することに理由なんてないし、いらないね。 阿部寛、中谷美紀という名優二人が象る不細工な愛に滅茶苦茶に泣かされた。 「人生には意味がある」確かにそう信じたい。
このマンガを読んで、星新一氏の『服を着たゾウ』(象)を思い出しました。どちらも、人間ではないものが「心」を持ったら、と、富の分配、がテーマですが、星氏の著作が陽なら本書は陰です。現在より進んだ格差社会が物語の舞台なため、どうしてもお話しは暗くなります。 世界の富の描写などは、政治風刺ギャグマンガで鳴らしている著者ならでは。
星が一つ少ないのは、ロボット(アンドロイド)のハードウェア面やアクションシーンの描写が物足りないため。物語はこのままで『攻殻機動隊』の士郎正宗氏が作画したものも読んでみたいもの。作中、小雪嬢が街の監視カメラを直にハッキングするシーンで、コードを首の後ろに挿していますが、『攻殻…』の影響なのかも。
蛇足ですが、本書のタイトルは古典SFの『アンドロイドお雪』を連想させます。そして、レビューのタイトルも…お分かりですね。
これは空気人形を通して現代人の心の穴を描き出した作品と感じた。誰もが抱えているであろう虚無感を。満たされたいけど、本当の意味で満たされない心。美しくもあるけど、同時に切なさを感じる作品だった。ペ・ドゥナが美しくも哀しい空気人形を見事に演じていたと思う。彼女を通して見る世界は確かに美しく、新鮮で驚きに満ちていた。これは彼女なくしてはありえなかったと思う。
「ロボット小雪」を読んで少しガッカリしたので、本作はそんなに期待せずに購入しました。
内容は、感情を持ってしまったロボットにまつわる短編集。 あんまりハードルを上げずに読み始めたせいもあってか、どの話も心にガツンと響きました。
心温まる物語には素直に感動し、悲しい結末をむかえる物語には読むのを中断する程のショックを受けました。 この先何度も読み返すことになりそうです。
漫画の持つ可能性と業田良家の偉大さを、あらためて感じました。
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