「戦場のピアニスト」の脚本。 原作ではありません... それでも、凄く面白い。 原書を読んで思いましたが、真実を見てきた人はなぜこうも冷静に 物事を語れるのであろうか?、と。 ゲットーやワルシャワ蜂起など、歴史的背景を押さえていないと 少々理解に難しいかもしれないな... (逆に、知っているともっと奥深く味わうことができます)
この映画には圧倒されました。 「シンドラーのリスト」など吹き飛んでしまうくらい。
感動を押し付けがましくもなく、 ただ淡々と人々の日常、そして刻々と変化する情勢を映し出しているだけなのに、 なぜこんなに心を揺さぶられるのか。
余計な音楽や、陳腐なセリフもない。 ただそこに「ピアニスト」がいた、というだけ。
多くの方が知っているであろう、ドイツ人将校とのやり取りのセリフは、 本当に日本語訳には難しいところでしょう。
ただ、そういう情報をしらなくても、 この映画の価値はかわらない。 優れた映像監督であることを改めて証明した、ポランスキー監督の最高傑作。
映画の内容も良いけどこのショパンの音楽が 尚更良いと思います 聞くだけで泣けてきそうになります ショパン音楽はすばらしい! やはり夜想曲第20番嬰ハ短調良いです!!
観終わって何が一番怖かったって、これが実話だと言うことでした。単なる映画用の脚本ではないのです。私はシュピルマン氏の回想録も読みましたが、ほぼ忠実に再現されていました。大きく違っていたのは、主人公が収容所行きの列車に乗るのを免れた時、原作では「走って逃げた」とあるのを本作品では「歩いて逃げた」のです。これは同じくゲットーでの生活を経験したポランスキー監督の体験(逃げるときに「走るな」と言われた)から変更したものです。そしてもう一点は、ドイツ人将校に見つかって弾く曲が、映画の中ではより感動的な曲になっています。シュピルマン自身が有名なピアニストであったからこそ列車から一人降ろされ、かくまってくれる同志がいて、ドイツ将校にも助けられたのです。作り話な!らばあまりにも都合のいい作品だと評されても当然ですが、この数奇な運命を生き延びた実在のピアニストの回想録であり、また監督自身のすさまじい実体験を真正面からとらえた作品です。
以前このレビューで、ホーゼンフェルト大尉がシュピルマンに語りかけるシーンで、ホントは丁寧な言葉使いを使っているのに日本語字幕では命令的な口調になっている…とありました。 現在は日本に住んでいるシュピルマンの実子・クリストファー・シュピルマンが「シュピルマンの時計」という本を最近出版しました。その本の中でも全く同じことが述べられています! 彼が言うには、このように命令的な口調だと、ホーゼンフェルトが捕虜になり「私はシュピルマンというピアニストを助けた」と言うシーンが、今までユダヤ人を虐待してきたのに、いざ自分が同じ立場になると助けを請うてるような調子のいい人物だと捉えられかねない、というような意味を述べています。実は、ホーゼンフェルトはドイツ人でありながら、差別されていたユダヤ人・ポーランド人・ロマ民族を助けるために奔走した人物だそうです。 私も本を読むまでは、確かにホーゼンフェルトを調子のいい人だなあと思ってました。吹き替えでは敬語になってませんでした(字幕はわかりまんが)。
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