神童[2枚組スペシャル・エディション] [DVD]
とにかく、主演の二人が上手い。
アイドル的な演技ばかりが目立つ日本映画界で、ここまで魅力的な演技が観られるのは良い。
台詞に表れない細かい心の揺れを、分かり易く、しかもわざとらしくなく自然に伝えている。
この上手い役者を二人揃えたのは大正解だろう。特に成海璃子は、役者として「神童」だと思ってしまうほど。
だが脚本と音楽が駄目すぎる。
まず脚本は、作品として破綻している。伏線が回収できていないばかりでなく、何が起こったかを説明したり、その背景を匂わせたりということすらできていない。原作から数エピソード抜き出しただけのように思える。無用なキャラクターも多い。原作を読んでいないと分からないが、原作を知っている人にはつらいという結果になっている。
音楽は、主人公のテーマソングがイージーリスニングになっている。
音大でうたがピアノを弾いて学生が聞き入るシーンがあるが、こんな曲、誰も立ち止まらないどころか、音大生なら軽蔑するだろう。せっかくなんだから、原作のバルトークなりショパンなりを活かせば良かったのでは。
というわけで、役者の演技を観るだけでも、価値はあると言える。演技だけなら★★★★★だが、作品としては★。中間をとって★★★。
武士道シックスティーン [DVD]
主演の二人、磯山役の成海璃子、西荻役の北乃きいが、硬軟コントラストのある女剣士役を元気に演じ切っている。特に北乃きいのふにゃふにゃ振りは、今までにないキャラ、北乃は難しい役を自家薬籠中のものにしている。
好きなシークエンスは、半ば強引に磯山を街に連れ出す西荻、二人はアイスを食べ、マニキアを塗り、可愛いミュールを買う。普通の女子高生ライフを満喫する二人はほんとに楽しげで、最後にサイズの合わないミュールにキレて磯山が裸足で歩き出すシーンは豪快で微笑ましい。個人的には、このシークエンスを手掛かりに、もう少し常に自縛している磯山の心に生じたであろう16歳の少女らしい不安定さ、迷いや懊悩を掘り下げてもらいたかった。
剣撃の場面は今一つリアル感が伝わって来なかったが、2人のコメディエンヌぶりは賞賛に値いする。次々に新しいキャラクターに挑戦し続ける成海のポテンシャルにはいつも驚かせる。しかし、本作では北乃きいの演じた今時女子高生剣士西荻にキャラ立ち面では完敗してしまっている。北乃きいのユルダメっぷりに脱帽した映画だった。
ブック・オブ・レコーズ(紙ジャケット仕様)
ニール・イネスの79年発表のソロ第3作目。78年、モンティ・パイソン(かの有名な英国のコメディ番組)から生まれたビートルズのパロディ・バンドThe Rutlesに参加した直後らしいオトで、あれが好きな人には絶対お勧めの良質のポップスが聴けます。 とにかく「音楽をよく知っている」様子が伝わります。当時の流行のレゲエあり、ビッグ・バンドあり、ジャズ風の曲あり、ボサあり。僕としては諧謔精神・博識・多彩な音楽性という点で10C.C.と共通点が多いように感じました。
2作目同様、マスター・テープの消失のためイネスのレコードを元にCDが作られたとの事で、オトがよくないんですよね・・・高いし。でも2000枚限定ですしねぇ。僕は買いましたけど。