フィギュアファンとして購入してみましたが、率直に申し上げて、「テレビで録画していた方は買わなくてもよろしい!」という内容でした。
まぁ、トリノのオリンピックで日本の女子選手が金メダルをとった記念に!という気持ちで買われるのならかまいませんが、それにしてもプライスちょっと高!もう少し安価に設定していただけませんかねぇ。
演技は所々しかなくて、最初から最後までの映像はありません。
(競技の映像は全くなしで期待していたので残念です)
ハイレベルな技術を徹底解析=スローな映像で確かにポーズは綺麗で素晴らしいと感じましたが、このスロー映像の時間が多すぎると思いました。
映像特典としてのメイキングが一番、荒川静香さんの普段の姿が垣間見られて良かったです。
期待しすぎないでインタビューに答える静香さんが見たいと思って購入されるといいですよ。
ブックレットには、一曲一曲について、誰がいつ使用した楽曲なのかきちんと説明がなされており、好感が持てます。またいくつかの楽曲については、荒川静香さん直々のコメントも掲載されています。
一番印象に残ったのは、ブックレットの1ページ目に掲載されている、「音楽、フィギュアスケート、私」というタイトルの荒川静香さんによる短いエッセイ。トゥーランドットの「ネッスンドルマ」との出会いや、この曲に対する荒川さんの深い思い入れが熱く語られていて感銘を受けました。
収録曲の中で一番私が気に入ったのは、勿論ヴァネッサ・メイによる「誰も寝てはならぬ〜トゥーランドットのヴァイオリン・ファンタジー」。あのトリノでの感動が蘇ります。何度聞いてもうっとりするほど美しい旋律だと思います。また、荒川静香さんがアイスショーで使用した川井郁子さんの「夕顔」も源氏物語の幽玄の世界を見事に表現していて引き込まれる一曲です。荒川さんご自身のコメントによると、「昨年、川井さんのライブでこの曲を聴いたとき、音楽がダイレクトに私の身体に入ってくるような気がしました。聴きながら、この曲で滑っている自分のイメージが湧いてくる、自分の滑りがヴァイオリンの音色に重なっていく・・・・そんな曲だったんです」とのことです。
とにかく収録曲・解説ともにさすが荒川静香さん監修だけあって満足できる仕上がりになっています。荒川静香さんのファンの方には是非ともお薦めしたいです。
ウォルト・ディズニーの「ファンタジア」、日本映画界の巨匠・黒澤明の「夢」といったオムニバス作品に夢中になった僕にとって、この荒川静香さん推薦の「フィギュアスケート・アルバム〜銀盤のクラシック」は、もはや芸術と音による新たな世界への入り口です。とにかく、聞いてみてください。そして聞き終わった後で感じてみてください。『芸術と音もここまで来たか………』と。
この本のもとになったNHKスペシャル「荒川静香 金メダルへの道」がアジア太平洋放送連合(ABU)加盟局の優れた番組に贈られるABU賞13部門のうちテレビスポーツ番組部門で最優秀賞に選ばれました。 おめでとうございます。
アジアで初のフィギュアスケート女子シングル選手の金メダルを獲得した荒川さんの心の軌跡がていねいに取材されています。 彼女自身、かつてTBSのスポーツキャスターをめざしていたこともあり(国際大会のため面接にあわせて帰国できず断念されたとか)取材される側としては非常に冷静に、酸いも甘いもかみわけたスタンスで報道と接しています。 そんな中で調子を落とし組み合わせのためにグランプリファイナルを逃したりと辛い時期もあったのですが、そういうときでも暖かい目で取材を続けてくれたNHK取材班への感謝の言葉が胸を打ちます。
二度の五輪出場、世界選手権制覇と輝かしい記録の陰でどのくらい鍛錬を重ね、くさらずあせらず黙って技術をアップさせていったか、若い女性の記録というより、まさにアスリート、闘士の記録として読みました。
ハイビジョン撮影を写真におこした美しいカラー画像も見事で「この1枚!」というものが多数収録されています。
「後に続く者」たちへの貴重な示唆としても読みこなすことが必要なのではないでしょうか。
|