John Renbournが1968年にPentangleに加入する前の1965年にレコーディングされたアルバムです。"Candy Man"ではJohnの歌声が聴けますが、基本的にアコースティックギター一本によるイギリスの伝統的なフォークソングの演奏が中心で、ギターのテクニックなど、ギター好きにはたまらないアルバムです。 なお、解説に書かれていますが、LP時代には収録されていなかった"Wildest Pig in Captivity [Instrumental Version]", "Can't Keep from Crying", "Blues Run the Game"がボーナスとして入っていてお得です。
"This record contains a variety of instrumental pieces including medieval music, folk tunes and early classical music."という書き出しのJohn Renbournにる本アルバムの解説が最も的確に内容を表しています。 この時代の音楽に興味のある人にはとても魅力的なアルバムで、私も聴いていると日常と異なる世界に引き込まれるようで好きなアルバムです。ただ、E.Guitar によるJ.S. Bachの "SARABANDE"は私の好みと違うようです。
1944年生まれだから67歳になるJohn Renbourn、久しぶりの新作だが、変わらず繊細で彼にしか生み出せない音楽がここには存在している。
彼のCDの中では、クラシック寄りに近いかも知れず、「ハーミット」が好きな方は、正に至福のCDだろうと思う。
クラリネットが絡む曲があり、初めはちょっと違和感を感じたが、聴き込むうちに、それはそれで納得をした。
John Renbournの円熟ぶりを示すCDだと思う。
彼らのギターのサウンドは私たちの耳には如何にも英国的に響く。それは彼らの音楽が、ブルースやジャズ、クラシック等の流れを汲んで生まれてきたのではなく、英国の風土、文化、歴史に培われて生まれてきたからだ。
彼らのギター・テクニックについてもまた然りで、既製の奏法では括ることのできない、やはり英国的な独創性が見られる。それは英国独自に発達した至芸とも言えるもので、彼らの先達としては、あのデイヴィー・グレアムがいる。ポール・サイモンはそのグレアムの「アンジー」を弾き、英国的独創性をアメリカへ持ち帰った。
このアルバムは、その「ギターの英国的独創性」がデュエットの形で存分に楽しめるものだ。バートもジョンも英国フォーク界が生んだ天才ギタリストで、信じ難いほど技巧的な演奏をする。その二人が、それぞれの独創性を息の合ったプレイで惜しみなく披露している。彼らの気品ある流麗な演奏を篤と聴いてほしい。そしてもしアコースティック・ギターを弾く人であるなら、フィンガー・ピッキング・スタイルでデュエットする醍醐味をこのアルバムで味わってほしい。
これは蛇足になるけれども、このアルバムを聴いてギターをコピーしたいと思う人もいるかもしれないので、その手始めとなるよう少々解説しておくと、1曲目の "East Wind" でのバートのチューニングはDGDGADで、カポは2フレット(カポを2フレットにすると若干高めになるので、曲に合わせて全弦少し下げる)。そして先ずペース音で5弦解放を弾き、続いて高音部の3弦解放+2弦5フレット+1弦解放を弾く。次はベース音が4弦解放、6弦解放と連続する。そしてベース音に高音を加えて6弦3フレット+4弦解放+3弦解放+2弦3フレット。最後に1弦解放、1弦1フレットと弾く。あとはほとんどこのフレーズの繰り返しである。一方、この曲に魅力的な旋律を加えているジョンのギター
"The Hermit"、それに続く"John's Tune"と聴いて、Pentangleでの演奏と異なり、とてもリラックスして演奏しているのが伝わってきました。全曲、そのような感じです。また、コンテンポラリーギターの演奏を学ぶ人のための模範演奏曲集という感じもします。(模範演奏だからといって決してつまらないものではなく、魅力的です。)
なお、音楽のイギリス的な雰囲気は薄れているように感じます。
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