これぞハードボイルド探偵モノという筋書きで、Philip Marloweはメチャクチャカッコイイです。
訳本でもいいので一度読むことをお勧めします。
原文では相当な時間がかかりますし、英語が古いので読み進めるのに難儀します。
Philip Marloweの勇敢さもそうですが、怒りっぽく、手が早いところが何となく好きです。
また、正しいと思ったことを警察にどやされたり、留置所に入れられたり、チンピラに殴られたりしてもひるまずに男として堂々と言っていく姿がcoolです。(私はビジネスでこうありたい)
よくこれを村上春樹は訳したよな。。。ホント凄いよ。
村上春樹がRaymond Chandlerはホントに文章が上手いと言っていた理由は原文を読むとおぼろげにですが理解できます。
また、村上春樹の小説がRaymond Chandlerから大いに影響を受けているということも分かります。
いわずと知れたハードボイルドミステリーの古典である。ミステリーとは限らない、いろんな小説や映画の一人称で語る主人公は、フィリップ・マーロウ私立探偵のプロトタイプである(らしい)。今回初めて「実物」を読んだ。マーロウは今まで読んだハードボイルドの主人公たちの誰にでも似ているようで、実に男臭く、クレバーで、似ていなかった。 この文章に接して、この文体にかぶれなかったら、本好きではない。マーロウの粋なセリフをいつか自分も呟いてみたいと思わなければ、男の資格はない。日本のどこかの評論家が「チャンドラーの小説は優れた独身中年小説だ」といっていたが、肯べなるかな。 42歳。いい女に「結婚に反対する理由がなにかあるの」といい寄られて彼はいう。「100人のうち2人にとっては素晴らしいことさ。あとの98人にとっては形式に過ぎないんだ。」かっこいい。こんなセリフを吐いてみたいものだ。むりだけど。
十年ほど前に清水俊二訳で読み、感動し、それから原書を手に入れ、それを繰り返し読んできた。そして今回、村上春樹が訳したということで読んでみた。あとがきはとても楽しめた。とても気持ちが伝わる。しかし肝心の翻訳は、少々がっかりしてしまった。地の文はともかく、台詞に原文の切れ味が感じられない。そして台詞はこの作品の中で、極めて重要な役割を担っている。この村上訳に対する何人かのレビュワーの言う通り、台詞は清水俊二訳の方が優っていると思う。
村上春樹の作品に対する思い入れはとてもよくわかるが、残念ながら彼の文体は(Raymond Carverの文体とは対照的に)Raymond Chandlerの文体とはあまり合わないような気がする。
話の筋書きはさておきとして、この作品の最大の魅力はロスアンゼルスの当時の空気そのものではないでしょうか。夜中の3時に飼い猫にせがまれてキャットフードを買いに出かけるくだりから、バックに流れる主題歌の気だるい雰囲気、いつも瞑想にふけっている隣人のお姉さん方、主人公の独特な住まい、謎めいた友人の失踪と死(?)、それにまつわる奇妙な人間模様、どれもがR・アルトマンにかかるとかくも魅力的に生き生きと描かれて、何度観ても飽きない作品にしあがっています。また、当時は全くの無名であったA・シュワルツェネッガーがチンピラの役で出演しているのもご愛嬌でしょう。
私は村上春樹さんの本は読みません。いやエッセイくらいは読んだことがありますけど、そのレベルです。
「長いお別れ」は好きで何度か読んでいて、好きがこうじて原書も買っています。それくらいファンなので今回村上さんの「ロング・グッドバイ」が出るのをを楽しみにしてしていて、発売当日に買って読みはじめて、気になるところは清水訳・原書と比べながら読みました。
感想ですが、訳に関しては村上さんのほうが原文に則って訳していますし、言葉も新しいです。ただ、雰囲気としては、マーロウの、とくにラストのテリーとの会話で感じたのですが、心の揺れが、なぜかストレートに伝わって来ませんでした(たんに自分の読解力不足かもしれません)。もし、長いお別れを読んでいなかったら感動は薄かった気がします。
文学者と映画の翻訳家のちがいでしょうか、少なくともラストの雰囲気は清水さんの訳のほうが日本人としては理解しやすいと思いました。
ただ、巻末のあとがきは最高です。これを読むだけでもチャンドラー好きにはたまりません。
そんなことで★5つです。
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