洋画「ゴスフォードパーク」を520倍楽しむ為の本。 映画本編のレビューでは変な事を言ってしまった私ですが、この映画後から来ますね。怒涛のような魅力が。「何故あの人はあんな事を言ったのだろう?」「何故彼はあんな事をしたんだろう…」「あの人物のあの描写はどういう意味か。」等と見た後考えてしまう自分が居る事に気付きます。脚本と演出と時代設定が完璧だからですね。最低二回見ないと魅力が分らん罪な大人の映画です。 その脚本を心行くまで堪能できる罪な本。時代背景や演出解説なども収録されている非常に良い出来。対訳なのでどのセリフがどういう日本語に訳されれていたかを細かく知ることができます。 この映画見た人で満足出来た人、これから観たいと思っている人、既に見た人等も予習として復習として映画の深い理解に実に役に立ちます。美しい英文と作品解説眺めるだけでも価値があります。 文句無し。星五つ。
見て損はありません。かなり面白いです。 これまで多くの映画を観ましたが、その中でもとても 印象に残る作品になりました。登場人物が多く、僅かですが 時間が長めなので(2時間20分ほど)少々疲れを感じるかも しれませんが、一見ばらばらなものが見事に調和しています。 いわゆる群像劇、というのでしょうか、90年代初頭のイギリス社会が 様々な人間模様を通して描かれており、楽しめます。 ただ、多くの登場人物が各々きっちり描かれている弊害なのか、 あまりにきれいに個々がわけられているので、それが単調すぎる、 つまり人間臭さの塊なのに、人間臭さが全くないように感じました。 下手な表現ですが、私の言いたいことは分かってもらえると思います。 群像劇的な作品は苦手という方以外で本作を観ていない方は必見です。 DVDの発売は現在未定のようですが、発売されたら即買いお薦め!!!
パトリック・ドイルによる音楽は「いつか晴れた日に」「イースト/ ウエスト」と同じく前に出過ぎない静かな曲調が実に素晴らしいです。 また、出演者の一人ジェレミー・ノーザムの歌声もとても印象的です。 とても心地の良い歌声で、その上かなりの存在感があります。彼が演じ ていたアイヴォア・ノヴェロは有名な音楽賞の一つ、A・ノヴェロ賞と しても知られている、実在の人物なのですね。ノーザム自身、音楽家の 家庭で育ったそうで、それを知れば彼の才能も納得できる気がします。 私的には彼の事、俳優としてもとても好きなのですが、なぜ音楽界に 入らなかったのか、不思議に思わざるをえませんでした。それくらい、 映画に劣らぬ素晴らしい「作品」なので、自信を持ってお勧めします。
例によって複雑な人間関係が一群として描かれます。 アルトマン監督の作品を見る楽しみは、何と言ってもこれですね。 舞台は1932年のイギリス。 貴族の屋敷でハンティング・パーティーが開かれるのに、招待客が集まるところから始められます。 貴族には、召使いがいて、貴族の序列によって召使いも序列がつきます。 階上の貴族と階下の召使いの奇妙な二重構造を透かして見せるのが、この映画の醍醐味かと思います。 イギリスは階級社会としばしば耳にします。 しかし実際はそれほど単純でないことを、映画文法で描き出しているのが素晴らしいところです。 本当にしっかりと残ります。 アルトマン監督作品は一度味を覚えると容易に抜け出せなくなる禁断の味です。 ごちゃごちゃした人間関係が示されるほど見る側はワクワクしてくる不思議さがあります。 アケデミー賞脚本賞は頷けます。
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