1971年光文社カッパブックス初刊を著者が生前に一部加筆したものを文庫化。
『富士古文書』つまり「宮下文献」を使っているのが問題だが、それがなくても言わんとするところの筋は通る。
竹田恒泰の解説は無用でしかなく、編集部のセンスのなさがうかがえる。
とはいえ、本文の内容自体は興味深いものがあり、関心のある者にとっては必読の一書である。
オススメ度 ☆☆☆☆☆
・・・・・・・・・・・・・ まえがき/3 目次/6 はじめに 真の歴史と神話の復権/11 第1章 古代における民族の移動/20 第2章 日本民族の起源/33 第3章 『富士古文書』とその記録者徐福の使命/45 第4章 『富士古文書』の語るもの/66 第5章 『上記』の編纂史と古代文字/95 第6章 日本の古代を語る『上記』/113 第7章 両古文書の否定者は、だれか/142 第8章 「津田学派」に対する津田博士の反論/158 第9章 神武実在説の復活/173 第10章 天孫族と出雲族/189 第11章 古代の外寇と内乱/206 第12章 神武東征/223 第13章 縄文農耕論/237 終章 天皇論/247
参考文献/270 解説 竹田恒泰/273
林房雄は小説家であるが、なにより『大東亜戦争肯定論』の著者として知られている。その人がこんな本を出していた。内容は『南洲翁遺訓』で知られる本文テキストを41編に分けて原文・訳・解釈と1編ごとに解説している。この本の特徴は単なる現代語訳でなく、一つ一つについている解釈の部分である。林房雄は『大東亜戦争肯定論』で当時の左傾化した言論界に挑戦した人である。しかし、本書を読むと普通の歴史観の持ち主で、その人による「西郷遺訓」の丁寧な解説はかえって新鮮味があり、一気に読むことができた。ここ何年かブームのように西郷遺訓の本が出ているが、この本が一番読みやすく、なにより面白かった。
左翼の方で酷く拒否反応を示す方も居られるようですが、 内容としては別に右に偏っているわけでもなく、 著者がこの本の中で書いてるように、日本にはソ連、中国、アメリカから見た、 当時の日本が悪という史観しかない、 これは他国に真似できない多角的な見方であると認めながらも、 日本人として当時の戦争を顧みることをしてないのは問題があるとして 日本人の目から見た大東亜戦争というものを 薩英戦争から大東亜百年戦争として順を追って説明しています。 日本人としての大東亜戦争を知るためには必読書です。
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