この本が発表されたのが10年以上前だと聞くと驚いてしまいます。最初に読んだ時、ちょっとした拒否感はありましたが、傑作という意味は徐々に分かってきたように思います。
バットマン、つまりブルース・ウェインはこの本の中では55歳という設定です。決してこれからの未来を描いてるわけではないのですが、ELSE WORLDとはまた別に、この本は『未来』を描いているのです。
『未来』はロビン、しかもこの本でのロビンはキャリーと言う名の少女に託されて行きます。
大人が読んでも確実に面白い本、というよりむしろ正直な所、子供のためのコミックスではないように思いました。
そしてフランク・ミラー氏の描く、リアルと単調、ディフォルメが共存するアートにも注目。
映画「DARK KNIGHT RISES」公開にあわせて出版されたBATMANのアイテムの案内本です。
本の
タイトルから素っ気ない事典の様なものを想像していたのですが届いたのは事典ではなく手間がかかったスクラップブックで
した。
まず、はじめのページにゴードン警部の「ゴッサム市警 ウェイン氏殺害事件報告書」が貼られています。ページをめくると映画
の過去2作品と新作から数々のポートレイトやイラスト、建物の見取り図、設計図、ブルー
プリントが収録されています。
そればかりではなく
・多数の登場人物の写真、ウェイン氏の「メモ書き」やカードが20ヶ所以上のページに貼られています。
数ヶ所ある閉じ込みの袋には、
・新作に登場する乗り物「THE BAT」のイラスト
・ジョーカーのファイルには「JOKER CARD」4枚
・裏表紙の背面にゴッサム・シティの地図
が入っています。
難点としては
・製本が雑(
分解の恐れあり)。
・貼られているメモが斜めで下の文字を隠している。
・ノリ付けしてはいけないところがノリ付けされていて読めないページがある。
・閉じこみのイラストの端がページの間に挟まって曲がっている。
といったミスもありますが、こんなに楽しい本はありません。バットマン「新三部作」が好きな人にはオススメです。
7/17追記 他の方のレビューにある通り背表紙の裏に貼られている袋の下にCD−ROMがありました。画像が
14枚と
スクリーンセーバーと壁紙に設定する方法のテキストが入っていました。
初代の刻命館から全てクリアしています。
数年ぶりにシリーズが復活することを喜んでいたのですが…これはディレクターが良くなかったのでしょうか。
良くなったのはグラフィックと主人公たち一派のキャラクター性強化くらいで、それ以外はやけに遊びにくくなってしまいました。
良かった点
・グラフィックは明らかに向上。
当たり前と言えば当たり前だけど、やはり綺麗な絵だと雰囲気が出ます。
過去作ではあまり人物キャラに力を入れていないのか荒いポリゴンで、「人間」としてみないと「人間」に見えない四角い顔立ちが目立っていましたが、今作はようやく理想に近い造形が見られるようになりました。
・主人公一派のキャラ性強化
前作までは殺人に葛藤を覚える普通の人間だったりしていましたが、今作は魔人の娘とその眷属三人娘という組み合わせで罪悪感や背徳感を覚える事は一切なく、ノリノリで人を生贄に捧げていきます。
雰囲気がかなり違ってしまいましたが、それぞれのキャラが立っている事、そして主人公の魔人の娘が仕事人のように人を罠に嵌めていく(各シナリオのプロローグで会話のやり取りの後、決め台詞的に「堕としてあげる」と宣言する)姿は昔のアニメ作品を思わせて実に恰好良いですね)。
・トラップの豊富さ
過去作に比べてユニークなトラップが増えました。
前々作「蒼魔灯」のトラップ作成エディット機能があったらより良かったと思いますが、本作だけでけっこうなボリュームがあります。
また従来に比べ、三角木馬等女性キャラに決めたいトラップも増えて実に良いですね。
悪くなった点
・敵が同時に出すぎる(常時ほぼ三人)
これによりコンボ中に他の敵が邪魔になる事がしばしば。
また落ち着いて罠に嵌めた敵を見物することも出来ず、逃げ回りながら次々にトラップを決めていくだけになりがちです。
せっかく罠にはまった敵を鑑賞するためのカメラ視点変更も逃走時の邪魔になります。
せっかく増えたセクシー系のトラップもリアクションを落ち着いて見ていられません。
・敵耐性の多さ
今作はあまりに耐性が多く(序盤から無効化・耐性を複数持つキャラが頻発。下手すると合計10近くある敵も)、何が効くのかいちいち敵のプロフィールを見ながら考えないといけません。
色々検討した結果、「結局壁からコンボ始めないと効かない」くらいの結論が多く、豊富なトラップの選択肢が狭まってしまいます。
・アーマーブレイクの仕様が雑
今作は1コンボ中に敵耐性を全て突く事で武装した敵の
鎧を破壊するアーマーブレイクという要素があります。
しかし、上記の敵耐性が多すぎて、1コンボ中に全ての耐性を突くことがそもそも大変なうえ、罠無効化も多いため隙間を縫うようなコンボにする必要があります。
結果、コンボのパターンが狭まる上にブレイクしたメリットも耐性が消え防御力が下がるだけで(せめて莫大な経験値が入るならともかく)
そんな面倒な事するくらいなら威力の高い仕掛けにぶつける方がよっぽど楽。
またこの仕様のためか、トラップ一発の威力が弱めでかつ敵の体力が序盤からやけに高いためテンポも悪く感じます。
賛否両論の点
・1話中に出る敵が増えた。
以前までなら1話で2~5,6人の敵がほとんどで終盤にようやく最大で10人くらいの敵が出ますが、今作は序盤から12~14人出てきます。(3~5人くらい倒すと、一時中断のようになり、リトライしても途中からになる)
常時二、三人敵が出る状況が増えてしまいましたが、個人的には1話当たりの敵が増えてやり応えが増えました。
これでコンボの邪魔をしないようCPUが配慮してくれたら…。
・アビリティ機能
トラップ以外に「任意で回復」「任意で敵の動きを止められる」「任意で敵を怒らせるビーム」等、いってみれば特殊技が使えるようになりました。
が、この内「敵の動きを止められる」能力が極悪。これで動きを止めてからトラップコンボを始めれば1対1ならボスクラス相手でもまず負けない。
初心者救済の要素もあるけれど、主人公がこういう能力を持つのはシリーズとしてやや邪道とも(主人公自身は攻撃能力は持たず、トラップのみで勝負が本来の姿のはず)。
様々な進歩も感じましたが、新システムがどうにも足を引っ張ってどうにも純粋に楽しめない一作になってしまいました。
主人公たち一派の魅力が無ければ投げ出してしまっていたかもしれません。
今作のグラフィックで影牢や蒼魔灯をリメイクしてくれた方が楽しめたかも。
とはいえ、今作の問題点を見直して早々に続編を出してくれることを期待して今作は☆三つとします。
やっぱり敵を罠に嵌める魅力は他に替えようのない楽しみがありますね。